72.優しい王様
黒い魔物の王が血を吹き出し倒れ、必死に足を再生させようと藻掻いている。そんな中で、
「作戦をちょっと変えて、私が足を四本また同時に跳ねる。そしたら、ラトが首を最初に斬って。その後、アマダスとパランで一緒に跳ねて。いい?」
「分かったぞ!」
「分かりました」
ミラーナさんの言葉にアマダスはしっかりと、私はゆっくりと頷き返事をする。
それを見てミラーナさんは、まるで私の心の中の不安を見透かしたように、
「パラン、大丈夫。あなたなら絶対に出来る、ね?」
そう言って、頭を撫でてくれる。そのおかげか不安が消えて心がふっと楽になる。だから今度は、私も少しだけ笑って頷き返事をする。
「はい」
それから少しして、魔物が足を再生し終わり胴体を再生し始めた時、ミラーナさんが最初に飛び出し胴体の方へと向かう。それに続いて、私達三人は首へと向けて走り出す。
「できる限りぃ〜、抉るのでぇ〜、後は任せますねぇ〜」
先頭にいるラトがそう言葉を言い終わると同時に、ミラーナさんがまた物凄い速度で魔物の足を四本跳ね飛ばした。
それに合わせてラトは魔物の下へと綺麗に入り込み、飛び上がると同時に、
「『全解放』」
ミラーナさんに負けない程の剣速でレイピアを振って、魔物の首を半分程切り裂いた。
「パラン」
「うん」
レイピアを振り抜いた後、ラトはその場を素早く離れて、今度はアマダスと私が魔物の首の下へと潜り込む。そして、
「『『解放』』」
二人同時に飛び上がり、魔物の首を切り裂いていく。
そしてそのままアマダスは勢い良く、私はなんとかギリギリで剣を振り抜き、血飛沫と一緒に魔物の首が胴体と別れて、地面へと落ちていく。
その時、また金色の瞳と目があって……どこかお礼を言うように瞳から光が消えていった。
私はそんな魔物の王を不思議に思いながらも、アマダスとほぼ同時に地面へと着地する。
「やったぞ、パラン!勝ったぞ!」
着地した途端、アマダスが嬉しそうにそう言って私の手を握ると、無邪気にはしゃぐ。それを見て、私とラトも笑顔になり、
「皆、よくやったね」
ミラーナさんも安心したように言葉を優しく零した。
それを聞いて、
「私ぃ〜、ちょっと休憩しますねぇ〜」
ラトはぐだっと眠るように地面へと寝っ転がって、その隣にミラーナさんも向かう。
「少し休憩したあと、この亡骸を冒険者協会まで持って行きましょう。ラト、その時はお願いね」
「分かりましたぁ〜」
ミラーナさんはラトに膝枕をしてあげ、ラトが幸せそうにミラーナさんのお腹に顔を埋めた。
それを見て私達も休もうとアマダスを見ると、柔らかい可愛い笑顔で何故か魔物を優しく撫でていて、
「何してるの?」
私がそう聞くと、
「見送っておるだけじゃ、一人は寂しいからな」
どこか不思議な、でも腑に落ちるようなことを言ってきて、私も優しく撫でてあげ、
「お疲れ様」
一言だけそう言葉をかけた。それを聞いてアマダスが、
「いい言葉じゃな。お疲れ様じゃ!」
楽しそうに大きな声で言った時、空がいきなり暗くなり、アマダスが消したはずの竜巻が一斉に、大きく激しくなって現れた。
そして、
「竜巻が、合体していく……」
何本もあった竜巻が一つに合体し、まるで生きているかのように、こちらにすごい速度で近付いて来た。
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