7.冒険者カード
アマダスが共鳴石から手を離すと、光は溶けるように消えていき、元の景色に戻る。
そしてアマダスは、はっとした表情で、
「パラン……」
私の名前を呼び、透明になった共鳴石に視線を戻す。
「何か見えたの?アマダス」
「……分からん。でも……なにか大事なものを見た気がする」
アマダスだけにはやはり何かが見えてらしい。そしてそれに引き込まれそうになっていた、と。でも、当の本人は何を見たのか覚えていない表情で……本当、不思議な事もある。
「……えーと、それでは冒険者カードを作りますのでこちらに」
私とアマダスが互いに黙った所で、ナールがタイミングよく言葉をかけ、隣の部屋へと案内してくれる。
それからすぐ、部屋に着くとナールが、
「これを持って下さい」
そう言い、紙を魔法で加工した空欄しかないカードを差し出す。それをアマダスが持つと、先程私が名前と年齢を書いた薄い紙を取り出し、そして……
「おおっ、紙が吸い込まれていく」
カードに薄い紙が吸い込まれたかと思うと、名前と年齢がカードに。そして最後にアマダスが今、使える魔法が記される。
____
アマダス 10才
エクストラ魔法
なし
攻撃魔法
なし
支援魔法
【回復魔法 中】
称号
なし
____
記されたアマダスの使える魔法を見て、ナールは不思議そうに首を傾げる。
「これは……また、 とても珍しいですね。回復魔法をこの年で持っているというのは」
けれど、確かにナールの言う通り。子供なら全部空欄でもおかしくない、と言うか大体の子供なら空欄のはず。
先程やった適性検査も、あくまで適性があるかどうかだけで、使える訳では無い。少し練習すれば使えますよー、もしかしたら威力もすごいですよー、みたいな感じ。
まあそれは置いておいて、私と同じ回復魔法をこの歳で持っているという事は……
「魔導書に触った……とか?」
触れば魔法が使えるようになる魔導書を触った、というのが可能性としては一番高い。
まあ、アマダスは記憶が無いから分からないけど。
魔法は子供じゃ難しい。大人でも仕組みを理解できない人がいるぐらいなのだから。だから、誰かに教えてもらった、とかはないはず……たぶん。
私の持ってるアマダスと同じ位の回復魔法も、たまたま出会った人に一週間面倒を見てもらって、やっと使えるようになったもの。
まあきっとたまたま触れた本が魔導書だった、みたいな感じかな?
パランが何となくそう結論を出したところで、ナールが、
「気付かず魔導書に触った、といった感じでしょうね。まあ、時々ある事ですから。気にしなくても大丈夫ですよ。それでは、受付へ戻りましょう」
珍しくて不思議、そんな表情を向けられていたアマダスは少し寂しそうな、そんな表情を浮かべていた。
けれど、ナールの言葉に少し表情が明るくなる。
そんなアマダスを見て私は一瞬迷う。……でも
「アマダス、行こ」
「……うん!」
ナールの様にアマダスに優しく声をかけ、一緒にナールについて行く。少しして受付の前で一旦止まり、
「それでは、以上で終わりです。少し登録に時間がかかりますので、少々お待ち下さい。出来ましたら、お呼びします」
ナールはそう言うと受付へ。私の時は大体10分ぐらいだったので、まあ何か依頼でも見て時間を潰そう。それと、
「アマダス。暇つぶしに、冒険者がいつもどんな事をしているのか、聞きたい?」
私のその言葉に、アマダスは顔をパッと輝かせながら可愛い無邪気な笑顔で、返事をする。
「本当か?聞かしてくれ!」
「それじゃまずは、冒険者依頼から」
面白い、続きが読みたい、そう思ったらぜひブックマークそれと、
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