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67.ミラーナ

 ラトは一瞬驚いたような表情を浮かべた後、どこか無理をして作ったような笑顔を浮かべて、アマダスを見ながら口を開く。


「忘れてましたぁ〜、アマダスちゃんてぇ〜、見かけによらず大食いでしたよねぇ〜」


「そうか?あまり我はそう思わんが……」


「いや、アマダスは大食いだよ」


「そうか!パランが言うならそうじゃ!いっぱい食べるぞ!」


 それから、何故か嬉しそうなアマダスと、さらに笑顔が引きつったラトと一緒に、私とアマダスはお腹いっぱいになるまでお肉を食べた。


 ◆


 ラトは言った通り奢ってくれ、三人で一緒にお店を出る。


「うぅ〜、昨日の稼ぎが全部消えましたぁ〜。食べ過ぎですよぉ〜、アマダスちゃ〜ん」


「お腹いっぱいじゃ!美味しかったぞ!」


「ラトさん、ごちそうさまでした」


「まあぁ〜、それは良かったですけどぉ〜……はぁ~、気にしても仕方ありませんねぇ〜。さてぇ〜、パランさん、アマダスちゃん、冒険者協会に来てくれませんかぁ〜?」


 ぐだっと腰を曲げていたラトは、気を取り直すようにしっかりと立ち、悲しそうな声から明るい声に戻って言ってくる。


「いいぞ!」


 それにアマダスは元気よく返事をして、私も頷く。それを確認して、ラトは歩き始め、私達は後ろを付いて行く。


「そう言えばぁ〜、何でアトヤ王国にぃ〜?」


「ぬいぐるみの持ち主を探しに来たんじゃ!」


「そうだったんですかぁ〜。でもぉ〜、リーン王国で拾ったんですよねぇ〜?どうしてこの王国だとぉ〜?」


「その、リーン王国のぬいぐるみ屋さんに見てもらったら、ここの貴族が持ち主だろうと言われて」


 私がアマダスに変わって言葉を返すと同時、アマダスが収納魔法から、例の小角シシのぬいぐるみを取り出す。


「これが拾ったぬいぐるみじゃ!小角シシはこの王国で有名なのじゃろ?」


「わぁ〜!とっても可愛いですねぇ〜。なるほどぉ〜、確かにこれはこの王国で作られた物でしょうねぇ~」


 ラトは意外にも、目を輝かせながらぬいぐるみを手に取り、わしゃわしゃといじってアマダスに返す。


「早く持ち主さんがぁ〜、見つかるといいですねぇ〜」


「おう!五日後に魔法使いと一緒に探すからな!」


「二人ともお優しいですねぇ〜」


 それから少しして、冒険者協会へと着いて中へと入る。中は相変わらず冒険者達が浮かない顔をしながら、ちらほらと座っていた。


「こっちですよぉ〜」


 そんな少しどんよりした空気を無視して、ラトは明るい声で私達を案内してくれる。


 そしてナールがコメットの所まで案内してくれた時のように、少し長い階段を登りきって、ラトが扉を開けるとラトにどこか雰囲気が似た背の高い女の人が座っていた。


「おかえり、ラト。その二人誰?友達?」


「はいぃ〜、パランさんとぉ〜、アマダスちゃんですぅ〜」


「こんにちは……」


「こんにちはじゃ!」


 ラトに紹介されて挨拶をすると、女の人はラトに凄くよく似た笑みを浮かべてくれながら、


「こんにちは。私はラトの姉で、ここ冒険者協会東支部のリーダー、ミラーナ。会えて嬉しい、パラン、アマダス」


 ラトと似ている優しくてふわふわした、でも無駄のない言葉でそう言われ、どこか安心する。


「我も会えて嬉しいぞ!」


「ふふ、あなた可愛い」


「ちょっとぉ〜、お姉ちゃ〜ん。人の女の子だからぁ〜、狙っちゃだめですよぉ〜」


「そっか。ごめんね、パラン」


「えっ、いえ、大丈夫ですよ……」


 どこか掴み所のないミラーナさんに急に謝られて、少し慌てながらそう返すと、ミラーナさんの出すふわふわした空気を破るように、


「それじゃ〜、本題ですぅ〜」


 ラトが真面目なトーンで話を切り出した。

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