61.希望の白い光
「うぅ……」
どうしてこうなったのかは分からない。けれど気が付けば、瓦礫が体に重くのしかかって身動きが取れなくなっていた。
私はきっとこのまま死んでしまうのだろう……せっかく、自由になれると思ったのに……せっかく、私はここから……
私は怒りで震える手で拳を握り込んで、動くはずもない瓦礫の中で藻搔く。
なんで……なんで?……なんで最後の私も自由じゃないの……どうして!
「さぁ、もう大丈夫よ」
優しい声が聞こえると同時、私を閉じ込めていた瓦礫がいきなり軽くなり、私はなんとか体を動かしそこから這い出る。
そして私に、とても綺麗な白い光さえ放っている手が伸びてきた。
だから私はその手の主を見て言う。
「あなたは……」
「私は、レッヘルン。あなたを助けに来たの」
「レッへ……ルン?」
「そうよ。さぁ、おいで」
◆
パチッと目が覚める。朝日が部屋に入り込み、鳥のさえずりが聞こえる。そして、お腹にはいつものようにアマダスが抱きついている。
「アマダス、起きて。もう朝だよ」
「んっ……パラン……」
私はアマダスを解きながら体を揺すっていると、私の名前を呼びながら、薄っすらと目を開けた。
「ほら、アトヤ王国に行くんでしょ?」
「ああ……そうじゃな……」
「準備するよ。早く起き上がって」
アマダスは目を擦りながら起き上がると、ベットからふらふらと降りて、伸びをする。続いて私も降り、ベットの下から着替えを取り出す。
「アマダス、収納魔法にこれを仕舞ってくれない?」
「うむ、もちろんじゃ」
「ありがとう。それじゃ次は……」
私は部屋の中をぐるっと一周見渡して、持っていかないといけない物を探す。
お金、アマダスの着替え、昨日拾ったぬいぐるみは大丈夫だし、他にいる物は……
「ないね。準備終わり」
「速いな」
「だって、お金もアマダスの着替えも収納魔法に入ってるからね。あっ、アマダス……下着、着てないよね?」
「ああ、昨日買っておったあれか。今着た方が良いのか?」
「う、うん。私後ろ向いてるから……」
「そうか。分かった」
アマダスの返事を聞いて、私は後ろを向く。すると、アマダスが服を脱ぐ音と、下着を着る音が聞こえてきて、やがて静かになる。
そして、
「パラン、これでいいか?」
そう言ってきたので振り向くと、下着姿のアマダスと目が合う。
「う、うん。ちゃんと着れてるよ」
「おお、やったぞ。『変更』」
私は初めて見るアマダスの下着姿に、視線を逸しながらも頷くと、アマダスは魔法を使っていつもの白いワンピースではなく、昨日買った黒いワンピースに着替えて、
「パラン、行くぞ!」
元気良くそう言い、私に手を伸ばしてきた。私はその手を握って、
「うん。行こう」
アマダスと一緒に、一階へと降りて行く。そして、いつものようにパンを配っているカタラさんを見つけて近付く。
「あらら!とっても可愛いわね。パランちゃんと二人でどこか旅行かしら?」
「おう!アトヤ王国に行くんじゃ!」
「なので、二、三日部屋を空けますね」
「分かったわ!楽しんでいらっしゃい!はい、おまけよ」
「ありがとうございます、カタラさん」
「それじゃーな」
カタラさんは、私とアマダスに笑顔で手を振り返してくれて、見送ってくれる。
そうして私達は宿屋を出てすぐの、リーン王国の出入り口へと歩く。出入り口の近くには、馬車が沢山止まっている馬車乗り場があるので、そこでアトヤ王国行きの馬車を探す。
「アマダス、あの馬車みたい」
「綺麗で大きいぞ!」
運良くすぐに見つかって、私とアマダスは仲良く馬車へ乗り込んだ。
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