55.止める為のおまじない
「まず、銀髪のアマダスちゃんは私的に、夜空みたいな暗い青色系の服が似合うと思うんです。こんな感じで!」
そう言ってミークが手に取ったのは、藍色のだいぶ丈の短いワンピース。それをすぐ、アマダスの前に持ってきて合わせ、
「ほら、見て下さい!色はこんな感じの寒色の方向でいいと思うんですけど!」
興奮しながらそう言って、私を見てくる。私はそんなテンションにまだ慣れれず、言われたままアマダスを見る。でも確かに、アマダスにはよく似合っているので、何回か頷いてから、
「アマダスは月みたいだね」
私がそんな言葉をかけると、アマダスはキョトンとしてからすぐに、
「褒め過ぎじゃ」
どこか嬉しそうな、いつも褒めた時とは少し違う、本当に柔らかい笑みでそう言って言葉を返してきた。
そんな私とアマダスのやり取りを見て、ミークは満面の笑みを浮かべながら、また早口で捲し立ててくる。
「ふふ、本当にお二人は仲が良いですね!さて次は、服の種類です!ワンピースはもちろん似合うアマダスちゃんですけど、こんな魔法使いが着る装飾が細かいローブだったり、コートだったりはどうでしょう?」
ミークは素早く手に取った藍色のワンピースを戻し、移動すると、何着か暗い寒色のローブとコートを取る。そして、それをアマダスに合わせ勢い良く口を開く。
「こんな感じになります。小さな魔法使いさんみたいで、とっても可愛いですね!ローブやコートは基本、ぶかぶかな物なので、動きやすいのも特徴です!これがいいみたいなのありますか、アマダスちゃん!」
本当にどうしてこんなにも長く、それも早口で喋っているのに、噛まないのか不思議でたまらない。本当に凄いな、なんて思いながら聞き終えて、ふと気付く。
この王国は魔法使いがだいぶ少ないのに、こんなにも沢山の種類を置いているんだ、と。誰か買う人がいるのだろうか?なんて思っていると、アマダスに手を引っ張られて、
「パラン。パランが決めてくれぬか?」
アマダスがそう悩みながら言ってきたので、私は一通りミークが選んだローブとコートを見て、直感ですぐに決める。
「このローブが一番いいと思う」
「これか。いいな、流石パランじゃ」
「パランさんはセンスがありますね!私もこれ、中々に上出来だと自負していましたから。外と内、それぞれ裏返しでも使えて、丈夫な素材で作りましたから、耐久性もさることながら、防水と軽さも兼ね備えていて、イタッ!」
物凄く詳しくローブの事を話し始めた時、また後ろから金髪のポニーテルお姉さんが登場し、ミークの頭を叩く。
「ごめんなさい。服の話になると永遠に話してしまう一種の病気にもかかっているの。また服の話を始めたり、話が長かったら、頭を叩くと止まるから」
「ちょっと、何を教えてるんですか?テナーさん。別にもう少しで話は終わりましたよ!」
「先輩に口答えするの?」
「だって、だって!」
急に子供みたいになったミークに驚くと同時に、どこかアマダスと似てるなとも思う。
そんなミークに金髪ポニテのテナーさんは、
「ミーク。気を付けなさい。分かった?」
ミークを上からねじ伏せるようにそう言って、ミークが頷いたのを確認して、去っていった。
「その、ごめんなさいでした……」
ミークは私達の方へと向き直ると、また謝ってくる。その言葉に私は、
「ミークさん、気にしないで下さい。それにしてもこのローブ、ミークさんが作ったんですよね?とっても綺麗です」
そう褒めて返すと、ミークは嬉しそうに笑って、
「本当ですか?実はこのローブの素材を集めるの、大変だったんですよ。あまり出回ってないものばかりで作っていますから、いつもよりお金と時間がかかっちゃって……でもその分、凄く綺麗に出来ました!ちなみに、このローブは夜空に似合うよう作っていますから、夜着るのがおすすめで、イッタ!」
また調子に乗り出したミークの頭を、アマダスがいきなり飛んで叩いた。そしてぽつりと、
「おお、本当に止まったぞ!」
子供のように無邪気な笑みで、ミークに笑いかけた。
ミーク、喋り過ぎですね。でも、そこが良いところなんですよ。
実はこういうキャラ一回は書いてみたくって。凄く面白いんですよねー、書いてると。
なのでちょっと長くなってるんですが、許してください。
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