53.好きな人と好きな物を
「ご注文の品は全てお揃いですか?」
「おう!」
「では、ごゆっくり」
アマダスが頼んだ料理が全てテーブルの上に並べられ、アマダスが目を輝かせながら私を見て言ってくる。
「パラン、食べよう!」
「うん、いいよ」
私が頷くと同時、アマダスは取り敢えず目の前に置かれた特製ハンバーグに手を伸ばす。
「美味しい?」
「おう、すっごく美味しいぞ」
アマダスが豪快に食べる姿を見ながら、私はまず味見しようとシルバーバードの唐揚げを一口食べてみる。
全くもって聞いたことのない名前だけど、普通に美味しい。次に猫耳ネズミの丸焼きと小角シシの煮込みを一口ずつ。そして最後、
「アマダス、一口ちょうだいよ」
「いいぞ、パラン。あーん」
アマダスがすごい勢いで食べている、特製ハンバーグをもらった。
「うん、全部美味しいね」
正直、こんなにも美味しいとは思っていなかったので、どれを食べ進めようか迷う。
でもまあ、特製ハンバーグはアマダスのだとして……小角シシの煮込みかな。さっぱりしていて食べやすいし、お肉も柔らかいからあまり噛まなくていい。
私はそう決めて、自分の前に小角シシの煮込みを持ってきて、食べ進めていく。
それにしても雨が降る中美味しいものを食べていると、どこか違う世界に行ったみたいで楽しい。
私はそんなちょっと浮かれた気分で、お店に入る前よりも強くなった雨音に耳を澄まして、小角シシの煮込みを最後まで食べていく。
途中ちょっとアマダスに分けながらも食べ終わり、シルバーバードの唐揚げを少しと、猫耳ネズミの丸焼きを半分程食べて、後はアマダスに全部丸投げする。
「本当にいいのか?」
「もちろん」
「やったぞ」
それからしばらくの間、アマダスが一人で残った料理を食べて、ペースを落とすことなくあっさり完食した。相変わらずアマダスはよく食べるなー、と思いながらささっと会計へ。
「銀貨四枚です……はい、お釣りは銀貨六枚ですね、どうぞ。ありがとうございました」
アマダスが店員からお釣りを受け取ってお金を仕舞い、一緒にお店を出る。そして、空を見ながらアマダスに言う。
「アマダスこれからどうする?」
外は雨が強めで、少し肌寒い。夜はきっともっと寒くなるので、出来れば宿屋には暗くなる前には帰りたい。
アマダスは私の言葉に少し考えた後、ぱっと笑顔になって、
「んー、分からん」
そう言い切った。でも、やる事なんてないし……
「あっ、アマダス、服は?」
「服?これがどうかしたのか?」
「いや、アマダスっていつも同じ白いワンピースで、これ以外は冒険者の防具しか持ってないでしょ?だから何か新しい服を買おうよ」
「服か、考えた事もなかったな。……良いぞ、買おう!」
アマダスが頷いてくれたので、また頭の上に風魔法を使って歩き出し、服を売ってそうな場所を探し始める。
あまり豪華なお店はなしとして……
「あそこ、どう?」
「おお、広い店じゃなー」
数分探して、広くて綺麗な服屋さんをみつけた。私はそのお店にアマダスと一緒に扉を開けて、中へと入った。
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