51.あめあめふれふれ
「凄いぞパラン。合格じゃ!」
「う、うん」
自分で何が起きたのか分からず、ゴブリンのように固まったあと、小さく頷く。今日の私は明らかに魔法の威力がおかしく、思い通りにいき過ぎている。
アマダスの魔力で魔法を使っているからと言って、たった二日でこんなにも成長するものだろうか。ましてや適正のない氷魔法、水魔法、土魔法が。
「アマダス、私どうして……」
私は怖いとは口に出さずとも、少し怖がりながらアマダスの方を向くと、アマダスは優しく微笑みながら言ってくる。
「全部、パランの実力じゃ。じゃから気にするな。自分の力に怯えては心がやられるぞ?もっと誇るのじゃ」
「ほ、誇る……」
今までの人生で、誇れるものなんてあまり私にはなかったので、誇り方が分からない。
「自慢すれば良いんじゃ、パラン」
「自慢……ど、どう?凄いでしょ、アマダス」
「あはは、パランは自慢するのが下手じゃな」
「わ、笑わなくたっていいじゃん」
私の自慢を聞いて、お腹を抱えて笑うアマダス。私は恥ずかしくって、視線を逸らす。やっぱり、自慢なんかするもんじゃない。
「もう帰ろう」
「すまんな、パラン。怒らんでくれ」
笑い過ぎで涙が出たのか、目の端を指で擦りながらアマダスは軽く謝ってくる。私はそんなアマダスを置いて、
「別に怒ってない」
それだけ言って歩き出す。その後ろをアマダスが追いかけて来て、隣に来たかと思ったら、私の手を優しく握ってくる。
「パランは凄いぞ、世界で一番じゃ。笑ってすまんな、パラン」
「ずるい」
「パランと一緒におるためなら、我はなんだってするぞ?」
「そう……この後何するの?」
私の言葉にアマダスは飛びっきりの笑顔になったあと、少し考えてから口を開く。
「行ったことがない所に行ってみたいぞ。だめか、パラン?」
その言葉に少し考えてから、私は頷く。出会って何一つアマダスの親や、知っている人を探してなかったけど、もしかしたら見つかるかも知れないし、アマダスの事について少し分かるかもしれない。
「いいよ、行こう。何か思い出せるかもね、アマダス」
私がそう言うと、アマダスは私を見つめたあと黙り込む。私はそれに首を傾げて、
「アマダス?」
名前を呼んでみると、アマダスは私の瞳を覗き込んでから不意に笑みを零し、口を動かす。
「我は今が幸せなら、昔の事なんて思い出せずともいいと思うぞ。気楽に行こう、パラン!」
◆
ダンジョンを出た私とアマダスは、普段行く必要なんて全くない王都ロエールを目指して歩き始める。
「楽しみじゃな!」
ダンジョンの中で、軽く王都がどんな所かアマダスに説明したら、無邪気に笑い早く行こうと急かせれた。
でもあそこ、人は多いし、ご飯も物も高いし、おまけにたいして広くない道でも、貴族が馬車で道を通るから鬱陶しい。足がついてるんだから歩けばいいのに。
私が心の中でぶつぶつと文句を言っていると、アマダスが手を引っ張てきて、
「パラン、パラン。空が」
アマダスが上を見ながらそう言って来たので、私も空を見上げてみると、黒い雲で覆われていて今にも雨が降りそうだった。
私はそれを見て、いつも一人でやっていたゲームをアマダスと一緒にしようと、アマダスの手を引っ張り返して言う。
「アマダス、どっちが長く濡れずにいれるか勝負しよ」
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