5.名前
「うわっ!」
私よりも全然体は小さいのに、アマダスは結構な力で抱きついてきて、私はよろけて後ろに倒れそうになる。
でも、そんな事お構い無しにアマダスは私のお腹に顔を埋めて、楽しそうに足をバタつかせながら喜ぶ。
私はそんなアマダスをどうしていいか分からず、少し迷ってから取り敢えず、可愛いアマダスの頭を撫でる事にして、アマダスが満足して離れてくれるまで、ずっとそう撫で続けた。
●◇●◇
「それで、今からどこに行くのだ?」
アマダスと抱き合った後、宿屋を出て今は、街の中。
これから行く場所は、
「冒険者協会だよ。冒険者になったら、結構自由に行動出来るから」
「冒険者……パランはならないのか?」
「私はもう冒険者だよ」
なんやかんやで二年前、冒険者見習いになって1ヶ月位で冒険者になった。本当、時間が経つのは早い。もう、あれから二年も……
「おおっ!こんなに大きな建物が……ほら、パランあれ!」
アマダスが興奮しながら、私の服を引っ張り指を指す先には、この王国でも有数の大きさを誇る建物、冒険者協会東支部がある。
「うん。あそこが冒険者協会。もうちょっとで着くかな」
「すごいな、すごいな」
楽しそうにしているアマダスは本当に、無邪気で元気な可愛い子供。そんな姿を見ながら、歩き続ける。
十分も経たないうちに、冒険者協会の入口へ。扉は常に開けられているので、誰でもすんなり入れる。
中に入ると酒に酔ったりご飯を食べながら、どうでもいい自慢を繰り広げているおじさんや、そんな話を面倒臭いはずなのに、笑いながら聞いてあげている優しいお兄さんやらが、うようよ。
本当、人付き合いって大変。だから私はパーティーを組むのが嫌なんだ。討伐金の配分で揉めてるパーティーなんて二日に一回は絶対に見るし。
私はそんな事を考えながら、いつもの癖でナールがいる受付へ。
「あっ、パランさん。こんにちは」
ナールがいつものように笑顔を浮かべながら挨拶をしてくれる。それに私も、
「こんにちは」
そう挨拶を返す。すると、ナールは不思議そうな顔で、
「そちらは?」
その言葉を向けられたアマダスは反応して、軽く自己紹介。
「私は、アマダスだ。パランと一緒に来た。よろしくな」
「なるほど、そうでしたか。私はナール。冒険者協会の受付を担当しています」
知らない人とはっきり喋れるなんて、二人ともすごいな……と思いつつも、
「ナール。このパランの冒険者登録、頼める?」
「はい。分かりました。少々お待ち下さい」
そう言ってナールは少し受付から離れ、奥へ。
本当、ナールと仲が良いのは助かる。他の人だったら絶対に緊張するから。
「では、こちらにまずは、名前と年齢を」
数秒して、ナールはペンと書類を一枚差し出して、受付に置く。
「アマダスは文字書ける?」
「文字?それはなんだ?」
まあ、想像通りの回答を聞いて、私はペンを手に取り書類にまずは、アマダスと名前を書いた。
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