46.苦楽
新しい魔法を覚えるというのは本当に大変で、そもそもどうしたら一番効率がいいのか分かっていない。
ましてや、向いていない魔法となると火魔法や風魔法を覚えた時みたいに、何回も見てやってを繰り返して覚えれる気もしないし……
「コツとかないの、アマダス」
「んー、そうじゃな。氷魔法と似ておるが、もうちょっと柔かい、ぷかぷかした感じで、力を抜くと良いと思うぞ」
「そ、そう……」
あまりコツとはいえないよう事を聞きつつも、それでも私はアマダスの真似をして、何回も試してみる。
集中して、魔力を水に変えようとするけれど、手応えがなく、何も起こらない時間が続いていく。
でも、こんな風に魔法を覚えていると、二年前ここリーン王国に来る前に出会った師匠を思い出す。
優しくて強い女性の冒険者で……また会えたらいいな……
「いたっ!」
「パラン、何を考えておるんじゃ?」
「えっ?いや、何でもないよ……」
「ふん、そうか」
アマダスに小突かれて、驚きながらも反応すると怒った表情のアマダスがこちらをじっと見ていた。
考えている事が他の女の人だから怒ったのだろうか?でも、分かるものなのかな?
私は疑問に思って試しに、アマダスの事を考えてみる。
怒ったアマダスも可愛くて好きだな……もっとこっち見てくれないかな……
「アマダス?」
私がそんな事を考えてみると、ちょっとニヤけたあと、急にそっぽを向いて私の事を見てくれない。
アマダスの魔力が、私の体に流れているからだろうか。本当に、私の考えていることがなんとなく分かるらしい。
まあでも、それは後にして今は集中しよう。
「アマダス、もう一回水魔法を見せて」
私がそう言うと、無言で水魔法を見せてくれる。私はそれを見て、水魔法を使えるようにと魔力を込めて、何回もめげずにやり続ける。
気が付けば太陽が真上に来て、少し暑くなった頃、
「水が……」
ポコッと手のひらから、水がほんの少しだけ出てきた。
「アマダス、見て!」
「おう、凄いな。やっとか」
私は少し嬉しくなってアマダスに見せると、ここからと言わんばかりに手を掴まれたかと思えば、
「えっ?えっ!」
私の手のひらの上にあった小さな水の塊が、物凄い大きさの水の塊になった。その時の感覚は確かに、アマダスが言った通りぷかぷかした感覚で……
「パラン、今の感覚じゃ」
「わ、分かった!」
その感覚を忘れないうちに、アマダスに急かされて私はもう一回水魔法を使う。すると……
「す、凄い。ちゃんと使える」
氷魔法と同じぐらい使えるようになっていて、つい楽しくなってなって、思わずもっと大きくしようとして……
「ごめん、アマダス」
魔力が尽きて倒れそうになってしまい、アマダスに受け止められる。
「ほれ」
「ありがとう」
そしてまた、アマダスに魔力をもらって元気になったところで、
「最後は土魔法じゃな」
「うん。あっ、でも、アマダスがまた私を掴んで魔法を使ってくれたら、すぐなんじゃない?」
「最初だけは、全部パランがやるんじゃ」
「えー、どうして?」
「そんな楽して覚えた魔法が、強くなるわけないじゃろ」
至極真っ当なド正論を言われて、私はぐうの音も出ず、
「分かった。なら、土魔法のコツ聞かせてよ」
「土を操る感じじゃ。ザザーとな」
またよく分からないコツを聞いて、土魔法の特訓を始めた。
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