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41.明日の事は明日でいい

 

「おかえりなさい。今日は早いのね」


「き、昨日はたまたま色々とありまして……」


「仲が良いなら、それに越したことはないわ。でも、女の子二人なんだから、気を付けるのよ?」


「は、はい」


 宿屋に入ると、カタラさんが少し安心したように話しかけてきた。まあ、昨日あんなに夜遅く帰ったから心配してくれてるのだろう。


 私は最後しっかりと頷いて、階段を上って自分の部屋へ。


「パラン、食べるぞ!」


「いいけど、ちょっと待ってね。アマダス、これお願い」


「おう!分かったぞ!」


 私は取り敢えず、銀貨と銅貨を取り出してアマダスに預ける。そしてその後、防具を脱いで剣をベットの上に置き、いつもの寝る時の格好に。


 それを見てアマダスも剣をベットの上に置き、服を脱いだ。


「ってアマダス!脱ぎ過ぎそれ!」


「あっ、すまん。下に着ておると思っておった。『変更(チェンジ)』」


 焦って視線を逸らす私とは打って変わって、特に焦る様子もないアマダスは、体を隠す事もなく魔法を使って、いつもの白いワンピースを着たアマダスになった。


「気を付けてね……アマダス」


 私が視線を逸したままそう言うと、アマダスは不思議そうに、


「別にパランになら、我の裸ぐらい見られても構わんのじゃが……」


「ア、アマダスの問題じゃなくて、私の問題だから……」


「そうなのか?」


「そ、そう……まあ、食べよアマダス。冷めちゃうから」


「そうじゃな!」


 深呼吸を一回して落ち着いた私は、机の上に魔物肉の素揚げとドーナツを置く。


「美味しそうじゃな!食べてもいいか?」


「うん、食べよ」


 そう言ってアマダスと私はまず、魔物肉の素揚げから食べ始める。まだ全然温かくって、思ってたよりもさっぱりとしている。これなら、ちょっと大きいなと思っていたけど、なんとか全部食べれそう。


 一方お腹が空いているらしいアマダスは、結構な勢いで食べ進め、何も言葉を発さない。


「アマダス、美味しい?」


 私がそう聞くと、口いっぱいに魔物肉を入れたまま、


「おぅ!」


 そう言って頷く。そんなアマダスを見て、笑顔になりながら食べ進めていき、私が半分ぐらいを食べ終わった所で、アマダスが欲しそうな視線でこちらをじっと見ている事に気が付いた。


「……欲しいの?」


 私がそう言うとアマダスは慌てて視線を逸らす。


「ち、違うぞ!」


「本当に?」


「本当じゃ……」


「はい、あーん」


「あ、あーん」


 私が魔物肉を口の前まで持っていくと、アマダスは一瞬迷ったあと、パクッと食べた。


「半分こしよっか」


「そ、それはだめじゃ。パランの分なのじゃから……」


「いいよ。この後ドーナツもあるしさ。ね?アマダス、いいでしょ?」


「パ、パランがそう言うなら……」


 私が顔を近付けてアマダスにお願いすると、渋々アマダスは頷いてくれ、半分こして一緒に食べる。


 正直な話し食べれると思っていたけど、キツかった。だから、アマダスが食べてくれて結構助かる。量が減った魔物肉を食べるスピードを上げて食べ、アマダスとほぼ同時に食べ終わる。


「ふぅ……アマダスそれじゃ次は……」


「ドーナツ、じゃな!」


 わくわくしているアマダスの前にドーナツを一つ置き、


「先にアマダスが食べてよ」


 私がそう言うと嬉しそうな顔で頷いて、ドーナツに手を伸ばす。そして、パクッとアマダスは口に入れた。


「パラン、すっごく美味しいぞ!」


「本当?それじゃ私も……」


 目を輝かせて感想を言うアマダスを見て、私もドーナツを食べる。柔らかくて甘くって、あっという間に私もアマダスもドーナツを一個食べ終わる。


「好きなだけ食べて良いからね」


「パランの分は残すぞ!」


 そこそこの数があるドーナツを取り敢えず全部出して、机の上に置き食べていく。


 それから私は三個食べてお腹いっぱいになり、残ったドーナツは全てアマダスが平らげた。


 それを見てなおさらお腹いっぱいになった私は、眠気に襲われてベッドで横になると、アマダスも私の横に来て、


「もう寝るのか?今日は早いな」


「今日は沢山動いたからね。おやすみ、アマダス」


「おやすみじゃ、パラン」


 私は目を閉じて、アマダスの頭を撫でながら静かに眠る。今日も一日、アマダスのおかげで楽しかった。明日は何をしよっか……

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