40.仲直り?
「こんにちは。パランさん、アマダスさん」
冒険者協会に着いてすぐ、ちらほらと受付に人が並んでいて、丁度空いていたナールの所へ。
「素材の売却です。どうぞ」
「はい、分かりました。少々お待ち下さいね」
特にナールは顔色を変えずに、袋に詰めた素材を受け取ると奥へと消える。なので、アマダスと一緒に少し受付から離れる。
「パラン、この後は何をするんじゃ?」
「んー、夜ご飯でも買いに行こうか」
「おおっ!ご飯か!丁度食べたいと思っておったのじゃ!」
「そ、そう、それは良かった」
「パランは何が食べたいんじゃ?」
「えっーと、何だろう……お昼にいっぱい食べたから、サ、サンドイッチとか?」
「サンドイッチか!いいな!我は……ハンバーグがいいぞ!」
「でも、お昼に食べたんじゃ……飽きないの?」
「全然飽きんぞ!」
「す、すごいね……」
それから少しの間、たわいもない話を続けていると受付からナールに呼ばれた。
「素材の売却分です。どうぞ」
渡された袋の中を見てみると、銀貨が三枚入っていた。最近、ダンジョンで薬草ばかり取っていたので、久しぶりの多さに、少し嬉しくなりながら銀貨を仕舞っていると、
「パランさん、今日はダンジョンの何層まで行かれたのですか?」
「五層じゃ!」
「もう、ですか。でも、これで一人前の冒険者ですね。これからも是非励んでください」
「もちろんじゃ!あっ、そうじゃ。ナールの好きな食べ物はなんじゃ?」
急に聞かれたアマダスの質問に、ちらっと私の方を見てから、嫌そうな顔をするわけでもなく、少し笑ってから、いつもの声で答える。
「ケーキとドーナツ。あと、魔物肉の素揚げです」
「ドーナツ?魔物肉の素揚げ?」
「ドーナツは真ん中に穴が開いている甘いお菓子です。魔物肉の素揚げは、名前の通り魔物肉を油で揚げた物です」
「なるほど!その二つ、食べてみたいぞパラン!」
ナールの好きな食べ物に興味を持ったアマダスがそう言って、服を引っ張ってくる。
それにナールは、冒険者協会の食事が出来る場所を指さして、
「あちらでどちらも買えますよ」
そう言ってくれた。それを聞いてアマダスは、無邪気な顔で言う。
「行こう、パラン」
「わ、分かったって……」
ナールに頭を下げてから、アマダスに引っ張られるように、ナールが指差した方へと向かう。
そしてすぐ、食べ物が売っているであろう場所へ。今はお昼を過ぎた時間帯なので、あまり人が並んでおらずすぐに、私達の番がやって来た。
「ご注文はお決まりで?」
「えっーと、ドーナツと魔物肉の素揚げを」
「それぞれ一人分ずつですか?」
「いえ、二人……三人分で」
「ここで食べますか?」
「いいえ」
「分かりました。銀貨二枚と銅貨四枚です」
それを聞いて銀貨を三枚出し、お釣りに銅貨六枚を貰う。それから三十秒経たずに、
「どうぞ」
注文した料理を渡された。
「早いな!でも何故ここで食べないんじゃ?」
「まあそれは、これからうるさ……賑やかな冒険者がいっぱい増えるから」
「そうか、パランは静かな方が好きなのじゃな。ならば、我も持とうか?パラン」
「いいよ、一つ減るし」
「それはどういう事じゃ?」
「すぐ分かるよ」
私はそう言って、また冒険者協会の受け付けに行くと、ナールの所へ。
「これ、どうぞ」
「私にくれるんですか?」
「日頃のお返し、です」
「おおっ!パランは優しいな!」
どこか楽しそうなアマダスと、満面の笑みで受け取ってくれたナールに私は安心していると、
「大事に食べます」
ナールにそう優しく耳打ちされた。そんな耳打ちにゾクッとしながらも、言葉を返す。
「そ、それじゃ、また」
「はい、またお待ちしてます。パランさん、アマダスさん」
「またなー!」
嬉しそうなナールにアマダスが大きな声で挨拶をして、そのままアマダスと一緒に冒険者協会を出る。
「喜んでおったな!」
「うん、良かった……」
日頃のお返しが出来て少しだけ満足しながら、アマダスと一緒に宿屋へと帰る。
「今日は疲れたね」
「そうか?我は楽しかったぞ!」
「ねぇアマダス、明日は何しよっか」
「そうじゃな……思い付かん!」
「そっか。明日の事は明日考えればいっか」
いつもの帰り道をアマダスと楽しく会話しながら歩き、太陽がオレンジ色になり始めた頃、宿屋の前へとたどり着いた。
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