4.一緒にいようよ
唇と唇が当たる寸前で、アマダスは私から満足したように離れ……私はドキドキしながら、口にある残ったパンを食べようか迷う。
このパンを食べたら、アマダスと間接キスをする事になる……でも、食べなかったら食べなかったで、パンに失礼だし……
「……?食わないのか?」
そんな悩めるパランを不思議そうに見ながら、アマダスは首を傾げて問う。
ど、どうしよう……食べてもいいのかな……?
「んぐっ!?」
ア、アマダス!
不思議そうに見ていたアマダスが何を思ったのか、パンを私の口の中に押し込んで、私は思わず噛んで、口を閉じてしまう。
すると、アマダスは嬉しそうな表情を浮かべながら無邪気に、
「美味しいだろ?このパンが一番美味しかった。どうだ?」
パランの瞳を覗き込みながらそう言って、笑う。
そんな顔をされて私は吐き出せる訳もなく……何回か噛んだ後、ゴクリと飲み込んで頬を染めながら、
「うん……一番美味しいパン、だね……」
それだけ言って黙り込む。
なんでだろう……すごく恥ずかしい。心臓がドキドキと音をあげて、体が熱い。私、どうしたんだろう……
「……アマダス……」
「ん?どうした?」
「……えっ?いや、その、えっーと……」
ぽしょりと口からアマダスの名前が出ていたらしい。それに自分でも驚きながら、なんとか誤魔化そうと頭を回して……
「ア、アマダスは、お母さんとかお父さん、いないの?」
取り敢えずアマダスの事について聞くことにした。見た目は十歳前後の少女。お母さんかお父さんが今、探しているかもしれない。それなら……でも、アマダスの返答は、想像以上のものだった。
「いない、と思う……というか、記憶がない。名前しか覚えていないのだ」
少し考えてからアマダスはそう言って、少しだけ悲しそうな笑顔を浮かべる。
記憶のない少女。そんな少女をこのまま見過ごす訳にはいかない。でも、私じゃどうにも……いや、それはきっと違う。
アマダスの記憶は、もしかしたら戻るかもしれない。もしかしたら、アマダスの事を知っている人に出会えるかもしれない。
それならそれまで一緒にいるべきだ。だからまずは、
「そっか。それなら、私と一緒に居ようよ。ダメ?」
「本当に……いいのか?」
アマダスの瞳がほんの少し揺れる。迷っているような、申し訳ないような……そんな揺れ方。
それに私は優しい声で、
「うん、もちろん。いいよ」
「それなら……」
と、ここで一旦アマダスは言葉を切ると、私の顔を見て、飛びっきりの笑顔で甘えるように、
「それなら、パラン……よろしくだ!」
そう言ってアマダスは、私を思いっ切り抱きしめて来た。
面白い、続きが読みたい、そう思ったらぜひブックマークそれと、
☆☆☆☆☆
↓↓↓
★★★★★
広告下の星を五個ぐらい押してポイントを!ついでに、いいね!と思ったらいいね!ボタンもポチッと!
よろしくお願いします。