39.素材集め
「着いたね。ここが五層の最後。それじゃ、帰りながら素材集めをしよう」
「素材集めとな?」
「そうだよ。魔物をいっぱい倒して、素材を集めるんだ」
「それが素材集め……楽しそうじゃな!じゃが、魔物はあまりおらんかった気がするが……」
「うん。私達が通って来た道は、魔物が一番少ない道で、もっと下の層が目標の人達が通る道なんだ。帰り道は魔物が一番多い道に行く。たぶん最初はびっくりするかもしれないけど、油断しないで」
「お、おう。分かったぞ」
六層へと続く階段に背を向けて、早速来た道を外れ、素材集めの道へと入る。
するとすぐに、
「来たよ、アマダス」
ゴブリンの集団が襲いかかってきた。それをアマダスと私二人がかりで、一匹残らず倒す。倒したあとは、手際良く私が素材を集めて仕舞うと、
「行くよ」
すぐに立ち上がって進んで行く。それからも、ゴブリンやスケルトンを複数相手に素早く倒して行く。
アマダスも最初こそ少し驚いていたけれど、すぐに慣れて、お互い邪魔にならないように動き、綺麗に倒していった。
「パラン、楽しいな!」
「アマダスがいるからね」
「わ、我だって、パランがいるからじゃ!」
◆
三層へと続く階段を少し息が上がった私は、なんともないアマダスと一緒に上がっていく。一層、二層、三層は魔物が少ないので、素材集めには向いてない。
だからここからは来た道を戻るだけ。素材集めは無事終了。
「アマダス、よく頑張ったね」
「パランもじゃ。大丈夫か?」
「うん、全然大丈夫」
自分のペースで動いてたら、アマダスが魔物を先に倒すと思って、アマダスに合わせて動き続けた結果がこれ。アマダスは本当に体力がすごい。
「そういえばパラン、魔法で魔物を倒してもいいか?」
「いいけど……アマダスは魔法の威力が強すぎるから、軽くね?」
「分かったぞ」
急にアマダスがそんな事を言ってきたので、不思議に思っていると、どこからかスライムが現れた。
そんなスライムにアマダスは無言で、白い炎を当てる。もちろん、スライムは燃やし尽くされる。
「急にどうしたの?」
私がそう聞くと、アマダスは、
「魔法を使って、魔物を倒したいと思っただけじゃ。それに、今日は魔法を使ってなかったしな。何故か、使わぬと気が済まんのだ」
アマダスはどこか違うところを見ながらそう言った。そういえば、記憶がなくなる前のアマダスってどこで何をやってたんだろう。あんまり考えた事なかったけど、アマダスって一体……
「パラン」
「ア、アマダス?」
「ここからは、我が魔法で魔物を全て倒すぞ!じゃから手を繋いでもいいじゃろ?」
「それはそうだけど……」
「ほれ、行こう」
私の手を引っ張ってアマダスは駆け出した。私もそれになんとか追い付いて、そのまま魔物に遭遇すれば魔法でアマダスが全て倒し、あっという間にダンジョンを出た。
ダンジョンを出ると、
「まだ昼か」
「そうだね。でも、太陽がそこそこ傾いてる。二時間ぐらいはいたみたい」
「今からどこに行くんじゃ?」
「冒険者協会だよ。集めた素材を売りに」
「そうか!なら、ナールに会えるな!」
「そ、そうだね……」
私は少しだけ重い足取りになりながら、楽しそうなアマダスを連れて冒険者協会に向かって、歩き始めた。
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