37.剣術修行
「いいよ、アマダス。それじゃまず、剣の持ち方から」
「おおっ!」
喜ぶアマダスに剣の持ち方を丁寧に教えてあげ、構えを見せる。そして……
「こうやって……剣は振り抜くんだよ」
風を切る音と共に、剣を振り抜く。
そんな私の動きを見て、アマダスは見様見真似で私と同じ様に構えて、
「……こうか?」
剣を振り抜いた。見た感じとても筋が良い。体もしっかりと使えていて、剣筋も綺麗。正直何日か修行すれば私と同じかそれ以上になると思う。
「上手いね、アマダス」
「本当か?やったぞ!」
私の言葉に素直に喜ぶアマダス。でも、ほんの少しだけ気になった事があって……私は剣を仕舞って、アマダスが剣を持っている手を握って、後ろから抱きつく。
「アマダス。構えも、振るときも、そんなに思いっ切り力を入れて握らなくてもいいよ。もっと力を抜いて、構えにいる力だけを入れてみて」
「わ、分かったぞ」
少しだけ言葉に詰まるように返事をしたアマダスは、私のアドバイス通りに、必要最低限の力だけで構えを取る。
それを見て、剣が当たらないようアマダスから離れて、私は合図を出す。
「よし、じゃ振ってみて」
それを聞いてアマダスは、私の時よりも大きな風を切る音をダンジョンに響かせて、剣を振った。
「ど、どうじゃ?」
ちゃんと出来たか?なんて顔で聞いてくるアマダスに、私は少しびっくりしながらも拍手をしてから、
「もう私より上手い……やっぱりアマダスはすごいね!」
アマダスの頭を撫でて褒めてあげる。先程と比べて格段に速くなった剣速に、綺麗な体の使い方。どこを取っても私より上手くて、綺麗で速い。本当にすごい子だ。
「良かったぞ。これで、パランと一緒に剣を使って戦えるな!」
「そうだね。アマダスがいれば、もうどんな敵にも勝てるよ。それじゃ、先に進もっか」
「おう!」
機嫌がとってもいいアマダスと手を繋ぎながら、先へと進んで行く。すると道の先からまた、ゴブリンが顔を出した。
「アマダス、前にゴブリン」
「パラン。今度は我が切りたいぞ」
「分かった。何かあったら剣じゃなくて、魔法を使うんだよ?」
アマダスはこくりと頷いて、剣を抜くと私よりも速く走ってゴブリンへと近付く。そして……綺麗に首を切り落とした。
「よく出来たね」
「パランの教えのおかげじゃ。ありがとな!」
嬉しそうなアマダスは剣を仕舞うと、ニッコリと笑う。私もその顔を見て笑顔になって言葉を返す。
「この調子で行こう、アマダス」
「おう!もちろんじゃ!」
それから四層では定番のゴブリンに出くわしては、アマダスか私が剣で仕留めていく。
一匹の時もあれば複数匹出てくる事もあるが、焦らず仕留め、その度にアマダスの剣術は上手くなっていった。
五層直前でゴブリン三匹を倒したときなんて、本当に一瞬で、びっくりして言葉が出てくるまで少し時間がかかったぐらいには、この四層でアマダスはすごい勢いで成長した。
「少し広くなったな……あっ!パラン階段があるぞ!」
「うん、この先が五層だよ。アマダスと一緒だったから、今までで一番早く着いた。アマダス、怪我してない?」
「もちろんじゃ!パランは大丈夫か?」
「うん」
アマダスの問いに私は頷いて、五層へと続く階段の前へ。
「五層まで行って帰ってこれたら、アマダスも一人前の冒険者だよ」
「本当か?ならば早く行こう!」
アマダスのその声に、私は階段を降り始める。それを見てアマダスも、私のすぐ後ろに付くように一歩踏み出した。
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