表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/101

35.無窮の扉

今日は、あと一話投稿します。

 

「よし、アマダス。今日は五層まで行ってみよっか」


「おおっ!我、頑張ってみるぞ」


 ダンジョンの入口を風魔法でゆっくりと降りながら、機嫌のいいアマダスとそんな会話をする。


 そしてすぐ、ふわりと地面に足が付き、アマダスにとっては二回目のダンジョン攻略となる。二回目ともなれば、やっぱり少し慣れるもの。


「こっちか?」


「うん」


 私が道を教えなくても、アマダスはダンジョンの中を迷わず進んで行く。


 どうやら、三層までの道のりは覚えているらしく、すぐに二層へと下りる。


「これは何じゃ?魔物か?」


「そうだよ。スライムって魔物だよ」


 二層では数体のスライムに遭遇して、アマダスは物珍しそうに観察した後躊躇うことなく倒し、特段時間もかからずに三層へと到着した。


「やっぱり、三層も魔物がいるね」


 アマダスがドラゴンを倒したからか、二層、三層とも魔物が復活して、行く宛もなく彷徨っている。


 どうやら、いつも通りの見慣れたダンジョンに戻ったらしい。


 私はそれにどこか安心して、


「それじゃ、ここからは私が案内するよ」


 今度は、私がアマダスの手を引いて歩き始める。


「アマダス。四層からは気を付けてね。強い魔物が出始めるから」


「分かったぞ」


「それと、出来るだけ敵を魔法で消さないでね?」


「それは、どうしてじゃ?」


「冒険者協会で売れなくなっちゃうから。アマダスの魔法は威力が桁違いだから、多分魔物が消滅しちゃう。だから、剣で仕留めてみよ。使い方教えるから」


「分かったぞ!楽しみじゃな。パランは器用じゃから、上手そうじゃ」


 私のどこを見て、そんなこと思ったんだろう?全然、器用じゃないんだけど……


 アマダスの少し重い期待を感じながらも歩いていると、アマダスがドラゴンを倒した場所に。まあ、特に何もないので気にすることなく通り過ぎようとする。すると、


「誰かおるぞ、あそこ」


「えっ……」


 明らかに何もない空間を指さして、アマダスはいきなりそう言った。


「や、やめてよ。誰もいないよ?ね?」


「いや、おるぞ。見えぬのか?」


「いや、いやいや、意地悪ならやめて?ほら、行くよ」


 私がアマダスの手を思いっ切り握りながら、歩き始めようとした瞬間、


「バレてしまいましたか。すごいですね」


「うひゃっ!」


 何もないところから、いきなりにゅるっと人が出てきた。


「パラン、何を驚いておるんじゃ?」


「はは、すいません、パランさん」


 アマダスの不思議そうな声に次いで、どこかで聞いたことのある声がまた聞こえてくる。その声に私は、アマダスにぎゅっとくっ付いて、声の主を見てみる。


「コ、コメット……さん?」


「はい。こんにちは」


 私はその姿と声にホッと胸をなで下ろして、呼吸を整える。幽霊とかじゃなくて、人だった。きっと認識阻害の魔法を使ってたんだ。良かった……


「それにしても、何をしておったんじゃ?」


「魔物の調査です。魔物が消失した原因と、復活した原因を調べているんです」


 コメットはそう言って、何枚かの綺麗な字が書かれた紙をひらっと見せてくれた。


「……は、覇者になると、こんな仕事もあるんですね」


「あはは、まあ状況が状況なもので」


 コメットはそう言って、少し笑う。その笑みはなんだか疲れているようで、きっとこれ以上ここにいても、迷惑をかけてしまう。


 それに、特にコメットに用事があるわけでもない。なら尚更、私達は速く進んだ方がいい。


「行こう、アマダス。コメットさん、失礼します」


「はい。また、どこかで」


 コメットのその言葉にアマダスが手を振ると、慣れたようにまた姿を消して、気配がなくなる。流石覇者。音一つしなくなって、消えるところを見たのにどこにいるのか分からなくなる。


 私もこれだけ魔法が使えたらな……なんて思っていると、いきなり手をアマダスに引っ張られて、


「パラン、力を入れ過ぎじゃ。離れなくなってしまうぞ?もっと、優しく握ってはくれんか?」


 お互いに握っている手を、私の前に持ってきてそう言ってきた。


 私は少し慌てて、握っている手の力を抜いて謝る。


「ごめんね、痛かったよね。次からは気を付けるから……それじゃ、行こう」


「そうじゃな、パラン」


 私はアマダスの返事を聞いて、久しぶりの四層へと向かった。

面白い、続きが読みたい、そう思った方はぜひブックマーク!それと、

☆☆☆☆☆

↓↓↓

★★★★★

広告下の星を押してポイントを!ついでに、いいね!と思ったらいいね!ボタンもポチッと!

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ