34.いつかの約束
「着いたね、アマダス」
「そうじゃな」
ちょっと遠回りにはなったけれど、迷うことなく武器屋へと着いた私とアマダス。でも、道中あまり話してくれなかったアマダスは、まだ少し唇を尖らせている。
「その顔も可愛いね。もっと見せてよ」
私がちょっとからかうと、先程から横にプイッと顔を動かして、無視してくる。
「入ろっか」
それはそれで可愛いアマダスの手を私は更に握って、少し緊張しながらも扉を開けて、中へと入る。
タイミングが良いのか悪いのか、中には誰一人お客さんはいなかった。
「おっ!来たか。もう出来てるぜ」
武器屋の大男は私達を見るなり、機嫌良さそうにそう言って、剣二本と防具を取り出した。
確か、私は剣を。アマダスは剣と防具を作ってもらったはず。どっちが私の剣だろう?
「銀髪のお嬢ちゃんがこっちで、青髪のお嬢ちゃんはこっちだ。どっちとも仕上がり最高だぜ」
そう言われて大男に渡された片手剣は、ドラゴンと戦って壊れた剣と長さはほぼ同じ。けれど、少し重く装飾が前とは違って華やかな剣だった。
私の剣は鞘と柄に、見たことのない青い綺麗な花が。アマダスの鞘と柄には、白く燃え上がる炎が刻み込まれていて……
「……綺麗」
私が思わず言葉を零すと、大男は嬉しそうに笑って、自慢するように言う。
「ははっ、そいつは良かった。俺の中での最高傑作だからな」
私は剣を鞘にしまって、腰にかける。その時、チラッとアマダスの方を見ると、アマダスはじっーと自分の剣を握って感触を確かめていた。
「どう?いい感じ?」
無視されるかな、と思いながらも試しに聞いてみると、先程とは違ってぱっと笑顔になってアマダスは嬉しそうに言葉を返してくれる。
「おう!」
どうやら、だいぶ機嫌が直ったらしい。それだったら……
「アマダス。せっかくだから防具、着てみてよ」
「そうじゃな。ちょっと待っておれ」
私が手に持ち差し出した防具を、一つ一つしっかりと見て確認し、そして……
「『変更』」
白いワンピース姿から、冒険者らしい白いマントを羽織った姿へと一瞬で変わった。
「おお、これは驚いた。お嬢ちゃん凄いな」
大男は感心したようにそう言葉を零し、アマダスの姿を見て満足そうな顔をする。
私は私で、初めて見るアマダスの冒険者姿が可愛いので、見惚れていると、
「どうじゃ?」
アマダスはヒラッとマントを翻して、私に首を傾げながらそう聞いきた。
「す、凄く似合ってるよ。可愛いね、アマダス」
私のその言葉にアマダスは嬉しそうな笑顔を浮かべて、剣を腰にかけるとその場でクルッと回って、喜々として言う。
「パラン、このままダンジョンに行こう!」
「おっ、それはいいなお嬢ちゃん。気を付けてな」
何故か横から入って来た大男の言葉に、アマダスは更に無邪気に笑って私を見てくる。さっきまで不機嫌だったなんて信じられないぐらい、可愛い顔。
……そんな顔されたら、断れない。
「分かった。行こっか」
「おう!」
「ははっ、気を付けてな。また何かあったら言ってくれ」
大男に見送られて、私達は武器屋を出る。すると出てすぐ、私の手をアマダスがぎゅっと握って来て……
「パラン。我が守ってやろう。ずっとな」
そうドキッとする事をアマダスに言われた。でも……
「ずっとは困るよ。いつか、私がアマダスを守るから……それまでね」
私の言葉に、アマダスは今日一番可愛い笑顔で、嬉しそうに頷いた。
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