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31.ちょっとした夢

 アマダスの言葉に私はドキッとする。こんな可愛い子が私の事を好きと言ってくれるなんて……やっぱり、いつ言われても嬉しい。


「私も今が一番幸せだよ」


 アマダスの柔らかくて温かい体をそっと抱きしめて、優しく耳元で囁く。


 それからしばらく、そのまま抱き合って……やがて、どちらからともなく離れる。そうしてお互いに少し気まずい空気が流れる中、アマダスのお腹が可愛い音を立てた。


「ご飯、食べよっか」


 私の言葉に恥ずかしそうに頷くアマダス。本当、なんて可愛い生き物なんだろうか、そんな事を思いながら私がオムライスを食べだすと、アマダスはハンバーグを一口スプーンの上に。そして、


「さ、先にその、パラン……お返しじゃ。あ、あーん」


「あーん。ありがと、アマダス」


 私がハンバーグを頬張りながらいつも通りのお礼を言うと、頬を染めながら一瞬でテーブルへと向き直り、照れ隠しをするようにハンバーグを食べ出す。


 それが可笑しくって、アマダスを見ながら私もオムライスを食べ、アマダスも私も次へ次へと料理に手を伸ばす。


 気が付けばテーブルの上にあるのはイチゴのショートケーキのみ。今日は少なめに頼んだおかげで、大変なことにはならず、私は満足。でも……


「アマダスのその顔は、物足りないって顔?」


「そ、そんなことはないぞ?」


 私の言葉に明らかに動揺するアマダス。多分だけど、アマダスは私の軽く五倍は食べれるんだと思う。半分こして私が満腹だったら、アマダスは大体ニ割ぐらいしかお腹を満たせていない。


「なら、追加でアマダスの分、いっぱい頼もうか」


「パ、パランがいいなら、我は別に構わん」


「なら、ラトに……」


「はぁい〜、ここですよぉ〜」


 ラトを呼ばうと立ち上がった時、お店の奥の方からメイド服ではなく、冒険者の恰好で現れたラト。そんなラトにびっくりして、


「その恰好……冒険者みたいな……」


「そうですよぉ〜、私の本業は冒険者ですからぁ〜。それでは追加の最後の注文とぉ〜、パランさんにお渡ししたいものがあるんですぅ〜」


 そう言って収納魔法から取り出して渡してきたのは、まだ少し温かいメイド服。おそらく、さっきまでラトが着ていた物だと思うけど……


「これを〜、ぜひ着てください〜。そしたら、割引しますよぉ〜?」


 ニヤニヤしながら言われたラトの言葉に、私は少し悩みながらも、別に今はアマダスとラトにしか見られないはずなので、


「分かった。それじゃ、どこで着替えればいい?」


「私が〜、認識阻害魔法をかけるので〜、ここで着替えて大丈夫ですぅ〜『認識阻害(ディスターブ)』」


 ラトがそう言って、認識阻害の魔法をかけてくれる。一応念のため、かかったかどうか自分の腕を見て確認してみると、


 ……自分の腕なのに輪郭が上手く捉えられない。


 これはちゃんと魔法にかかっている証拠で、昔違う冒険者の人にかけてもらった時と全く同じ。


 私はそれを確認し終え服を脱いで、素早くメイド服に袖を通す。


 でも……やっぱりアマダスの前で着替えるのは、いくら見られてないとはいえど、どこか恥ずかしかった。


 私が着替え終わる頃には、ラトはアマダスの注文を聞いて、お店の奥へ。アマダスは暇そうに足をぶらぶらさせながら、キョロキョロしていた。


 私は一回深呼吸をして、息を整えると頭の中で魔法が(ほど)けるイメージをする。


 そうすると、私にかかっていた認識阻害魔法が消えていき完全に魔法が解ける。そのタイミングで、私は口を開く。


「アマダス……どう?」


 そう言うと、アマダスはすぐに私の方を向いてはくれたけど……口をもごもごさせて、頬染めて黙ったままだった。


 そんな反応を見て、私も急に恥ずかしくなる。普通に考えて、スカートは短いし、肩も腕も結構露出している服を、私なんで着たんだろう……一生に一回は着たいと思っていた服だけど、まさかここまで恥ずかしいとは……


 私がそう思っていると、ラトがしれっと料理を持ってやってきて、


「似合ってますねぇ〜、それあげますからぁ〜、好きに使って下さいね~」


 そう言って料理をテーブルに置いた後、またお店の奥へと消えていった。そんなラトを少しだけ目で追って、もう一度黙ったままのアマダスの方へと向き直る。


 自分では分からないけれど、やっぱりあんまり似合ってないのかな……


「も、元の服に着替えるね」


 私のその言葉を聞いた瞬間、アマダスは何故か私の脱いだ服を素早く抱きしめて……


「あっ……その……せ……」


 私の服を取ったことを自分でも驚きながら、アマダスは必死に口を動かして私に言ってきた。


「世界で……一番可愛い、と思うぞ……パラン……」

凄くどうでもいい補足かもしれませんが、メイド服を着たとき、パランは白色の膝上までのハイソックスを履いています。


面白い、続きが読みたい、そう思った方はぜひブックマーク!それと、

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