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30.愛と恋と

 

「今日も、凄いな……!」


 ザクロに襲われ、それをなんとか凌ぎ切った私達は、色々あって抱きあった後、動けない私をアマダスがおんぶしてくれ、一緒に宿屋へ帰り、すぐに眠った。


 そして気が付けば、昼になっていて……宿屋を出る時にカタラさんから貰ったパンを道中で食べながら、昨日も来た少し異質な古いお店で料理を頼んでいた。


「いや~、今日も来てくれるなんて、嬉しいですぅ〜」


 ラトが嬉しそうに言いながら、料理をまた運んでくる。今日は昨日より少なく頼んだのでこれが最後のはず。


 私はワクワクしながらオムライスに手を伸ばして、一口分スプーンの上に。


「アマダス、あーん」


「あ、あーん。ありがと、じゃ」


 昨日、私が好きと言い過ぎたせいなのか、今日起きた時からアマダスはずっと、ちょっとしたことで照れてくれる。


 そんなアマダスが物凄く可愛くって、ニコッと笑みを浮かべて見つめると照れながら視線を違う方向へとやり、居心地悪そうにする。


 そんな私達の様子を見て、何かを察したらしくラトは面白そうに口を開く。


「へ〜、何か良い事があったんですねぇ〜。恋人同士にでもなったんですかぁ~?」


 ラトのその言葉に、アマダスは頬を少しだけ赤く染めて、下を向く。


 そんな反応からして、アマダスは私と恋人同士だと思っていそうだけど……


 でも私的に、恋人になったのかと聞かれると少し違う気がする。まだ、アマダスとろくにキスもしてないし……


「その一歩手前ぐらい、かな?」


 私のその返答に、アマダスは少しだけ残念そうな顔をした。その表情を見逃さず、ラトはニヤニヤしながら言ってくる。


「あ〜、もしかして〜、やる事やってないんですねぇ〜?」


 ラトのその言葉はどんぴしゃの正解。


 けれど、アマダスは意味が分からなそうな顔をしてこちらをちらっと見てくる。


 私はアマダスにその時が来たら教えてあげよう、そう思いながら、ラトに言葉を返す。


「まあ、そんな感じ」


「ふふっ〜、ぜひたくさんイチャイチャしてくださいねぇ〜」


 ラトはそう言い残すと、お店の奥の方へと消えていった。私はそれを見送って料理を食べだす。私が食べ始めてしばらくして、アマダスも私と同じ様に料理を口に入れ始めた。


 そんな可愛いアマダスに、気になっていた事を聞いてみる。


「ねぇ、アマダスは私のどこが好き?」


 そんな質問を不意にしたせいか、アマダスは少しむせて私の方を見てくる。けれど、アマダスはそれからしばらく口を開かず、視線を彷徨わせる。


 なので私が先に、昨日言い忘れていた事をちょっとドキドキしながら言う。


「なら分かった。アマダスの好きな、まだ言ってない所を私が先に言うね。私、アマダスと居ると落ち着くんだ。楽しいし、心地良い。やっぱり私、アマダスと会えて本当に良かったよ。……これからもよろしくね」


 何故かは分からないけれど、昨日より凄く恥ずかしい事を言った気がする。だから私は一旦アマダスから視線を外して、冷静になる。


 少し経ってちらっとアマダスを見ると、目に涙を溜めてこちらに頬染めながら視線を向けていて……私はびっくりして慌てて口を開く。


「ご、ごめんね。意地悪し過ぎたね」


「……ち…う……じゃ」


「えっ?」


 微かに聞こえたアマダスの言葉を思わず反射的に聞き返す。アマダスがこんな小さな声で喋るなんて事中々ない。やっぱり怒って……


「違うんじゃ……」


 アマダスはそう言うと、私に抱きついてくる。なんでアマダスがこんな事をしてくるのか分からず、取り敢えず頭を撫でていると、


「わぁ〜、私が少し離れた間に、すごくイチャイチャしてますねぇ〜」


 お店の奥からラトがしれっと出てきて……よく見ると両手にいちごのショートケーキを持っていた。


「まあぁ〜、それは良くて〜、私今日でこのお店辞めるんですよぉ〜。だから、サービスですぅ〜」


「えっ、辞めるって……このお店は?」


「元々このお店は〜、友達がやっていたお店だったんですけどぉ〜、ドラゴンに襲われて怪我しちゃってぇ〜、代わりに私がやってたんですぅ〜。明日から友達が復帰なので〜、このお店は大丈夫ですよぉ〜」


 ラトは何故か嬉しそうにそう言って、私とアマダスの前にケーキを置くと、またお店の奥へとを消えていった。


 私はそんなラトのことなんて今は気にもせず、アマダスの方を向く。


「アマダス、ケーキだって。一緒に食べよ?」


 私がそう言っても、アマダスは首を振って断ってくる。一体どうして……泣かせないって昨日の夜約束したのに、もう破ってしまった。


 約束というものは守り続けて初めて約束になるもの。だから破ったらそれは、ただの嘘。こんなはずじゃなかったのに……


 私がそう焦っていると、アマダスの小さな声が聞こえてきた。


「パラン……我は、嬉しいだけじゃ。我も、パランに会えて良かった。パランの全部が、大好きじゃ」


 嬉しそうに笑っているアマダスのその言葉に思わず驚いた。そんな私にアマダスは続けて、心の底から幸せそうな声で私の服を掴みながら言った。


「我は今が一番幸せじゃ……じゃから涙が勝手に出てるだけ……気にするな。約束に嬉し涙は入っておらんから」

次もイチャイチャが続きます。お楽しみに。


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