3.小悪魔
「えっーと……だ、誰?」
「私は、アマダス。アマダスと言う。よろしくな!」
元気良く、子供のように自己紹介をしたアマダス。そんなアマダスを見て、昨日の記憶が頭の中から溢れ出てくる。
そう。確か昨日、この少女を拾ってから、このベッドに寝かして、回復魔法を……あれ、私どうして忘れて……
「……?大丈夫か?急にボッーとして……」
「あっ、いや、えっと……私の名前は、パラン。よ、よろしく、ね」
「分かった、パランだな。よろしくな」
何か嬉しそうにアマダスは笑みを浮かべて、私の名前を呼ぶ。
名前を呼ばれた私は、初対面でいきなりの会話にそれはもう、心臓がバクバクで……緊張し続けていた。でも、それでも、
「その、取り敢えず、寄ってくれる?」
私は勇気を出してそう言葉を発する。それにアマダスは、
「分かった。……これで、いいか?」
すんなりとベッドの端に寄ってから、首を傾げて聞いてくる。そんな可愛い姿に、私は少しだけドキッとしながらも、
「う、うん。そ、そう言えば、痛いところとかは、ない?」
何とか声を出して、考えていた最後の話題を言うと、アマダスは自分の体を所々自分で動かしたり、力を入れたりと試した後、
「どこも、痛くないぞ」
笑顔を浮かべたまま、私の目を見てそう答える。
昨日は目を閉じていたから分からなかったけれど、この少女、アマダスはとても綺麗な長い銀髪に、私と同じ黒目。ついでに言えば、尻尾や獣耳はない。だから、人間……かな?
私が、そんな事を考えていると、グゥーと、お腹が鳴る音が聞こえてきて……私は、テーブルの上に置いた紙袋に一瞬視線をやって、
「パン、食べる?」
そう言うとアマダスは、
「食べる!くれ!」
嬉しそうに返事をして、両手を前に出す。それを見て私は紙袋を取り、パンを一つ出して、アマダスにあげる。
パンを受け取ったアマダスは、美味しそうにパンを食べ始め、私も一つ取り出して一緒にパンを食べる。
このパン、相変わらず今日も硬い……最初の頃は、よく食べるのに苦労した。だって、まず噛みきれなかったし……けれど、パンを可愛くほうばって、むしゃむしゃとアマダスは美味しそうに食べている。つ、強い子だ……
「おかわり!」
「ど、どうぞ……」
「ありがとう。優しいな、パランは」
手を差し出してきたアマダスに、パンをまた一つあげると、嬉しそうにお礼を言って食べ始める。
私は空になった紙袋を畳んで、もう一個の紙袋を手に取り、私もパンを食べ終わったので、また一つ取って食べる。
「おかわり!」
「はい」
アマダスにまたあげて、最後の一個に。
そして、私の方が少し早く食べ終わり、最後の一個を私が取る。そして一口、口に入れた瞬間、
「おかわり……」
アマダスが私の食べているパンを見ながら、それが最後のパンだと紙袋を畳んでいる姿から察して、言葉の最後に行くに連れて、悲しそうな、か細い声になる。けれど……
「半分こ。半分こしよう!」
急に明るい声になったかと思ったら、私が咥えているパンにアマダスは躊躇なくかぶりついて来て……
私はびっくりしてパンを思い切り噛んでしまう。そうすると、私の口にパンが固定されて……それをいい事に、アマダスはもぐもぐとちょっとずつ食べ進めていく。
それを私は頬を赤く染めながら、アマダスが口を離してくれるまで耐え続けた。
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