表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/101

3.小悪魔

 

「えっーと……だ、誰?」


「私は、アマダス。アマダスと言う。よろしくな!」


 元気良く、子供のように自己紹介をしたアマダス。そんなアマダスを見て、昨日の記憶が頭の中から溢れ出てくる。


 そう。確か昨日、この少女を拾ってから、このベッドに寝かして、回復魔法を……あれ、私どうして()()()……


「……?大丈夫か?急にボッーとして……」


「あっ、いや、えっと……私の名前は、パラン。よ、よろしく、ね」


「分かった、パランだな。よろしくな」


 何か嬉しそうにアマダスは笑みを浮かべて、私の名前を呼ぶ。


 名前を呼ばれた私は、初対面でいきなりの会話にそれはもう、心臓がバクバクで……緊張し続けていた。でも、それでも、


「その、取り敢えず、寄ってくれる?」


 私は勇気を出してそう言葉を発する。それにアマダスは、


「分かった。……これで、いいか?」


 すんなりとベッドの端に寄ってから、首を傾げて聞いてくる。そんな可愛い姿に、私は少しだけドキッとしながらも、


「う、うん。そ、そう言えば、痛いところとかは、ない?」


 何とか声を出して、考えていた最後の話題を言うと、アマダスは自分の体を所々自分で動かしたり、力を入れたりと試した後、


「どこも、痛くないぞ」


 笑顔を浮かべたまま、私の目を見てそう答える。


 昨日は目を閉じていたから分からなかったけれど、この少女、アマダスはとても綺麗な長い銀髪に、私と同じ黒目。ついでに言えば、尻尾や獣耳はない。だから、人間……かな?


 私が、そんな事を考えていると、グゥーと、お腹が鳴る音が聞こえてきて……私は、テーブルの上に置いた紙袋に一瞬視線をやって、


「パン、食べる?」


 そう言うとアマダスは、


「食べる!くれ!」


 嬉しそうに返事をして、両手を前に出す。それを見て私は紙袋を取り、パンを一つ出して、アマダスにあげる。


 パンを受け取ったアマダスは、美味しそうにパンを食べ始め、私も一つ取り出して一緒にパンを食べる。


 このパン、相変わらず今日も硬い……最初の頃は、よく食べるのに苦労した。だって、まず噛みきれなかったし……けれど、パンを可愛くほうばって、むしゃむしゃとアマダスは美味しそうに食べている。つ、強い子だ……


「おかわり!」


「ど、どうぞ……」


「ありがとう。優しいな、パランは」


 手を差し出してきたアマダスに、パンをまた一つあげると、嬉しそうにお礼を言って食べ始める。


 私は空になった紙袋を畳んで、もう一個の紙袋を手に取り、私もパンを食べ終わったので、また一つ取って食べる。


「おかわり!」


「はい」


 アマダスにまたあげて、最後の一個に。


 そして、私の方が少し早く食べ終わり、最後の一個を私が取る。そして一口、口に入れた瞬間、


「おかわり……」


 アマダスが私の食べているパンを見ながら、それが最後のパンだと紙袋を畳んでいる姿から察して、言葉の最後に行くに連れて、悲しそうな、か細い声になる。けれど……


「半分こ。半分こしよう!」


 急に明るい声になったかと思ったら、私が咥えているパンにアマダスは躊躇なくかぶりついて来て……


 私はびっくりしてパンを思い切り噛んでしまう。そうすると、私の口にパンが固定されて……それをいい事に、アマダスはもぐもぐとちょっとずつ食べ進めていく。


 それを私は頬を赤く染めながら、アマダスが口を離してくれるまで耐え続けた。

面白い、続きが読みたい、そう思ったらぜひブックマークそれと、

☆☆☆☆☆

↓↓↓

★★★★★

広告下の星を五個ぐらい押してポイントを!ついでに、いいね!と思ったらいいね!ボタンもポチッと!

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ