29.単純だから、欲しい物
ぎゅっとアマダスは私のお腹に顔を埋めて、声を出さずに泣き続ける。そんなアマダス相手に、私はどうしていいか分からず、ただ頭を撫でることしか出来ない。
約束……そう、アマダスは言った。初めて会って時、ずっと一緒に居ようそうやって私はアマダスと約束したのに……
「ごめんね……アマダス。私のせいで、こんな事になっちゃって」
私のその言葉に、アマダスはさらにぎゅっと私を抱きしめて顔をお腹に押し付けてくる。それがなんだか、とっても苦しくて……私は思わず口から言葉が溢れてくる。
「私がいなかったら……こんな事にはならなかったのに。私がいなかったら、アマダスはもっと幸せだった……」
溢れ出た言葉を無理矢理止めるように、アマダスは私の口を手で強く塞いで来た。
「我は……パランと一緒ならどんな時でも……幸せじゃ。我は……パランが居なくなったら……悲しいぞ」
最後の一言、アマダスは私の目を見ながら涙を流してそう言った。
その瞬間、私はもう何を言っていいのか分からなくなってしまう。もっともっと謝ればきっとアマダスは許してくれるだろう。でも自分自身が、きっと許さない。許してくれない。
私はどうすればいい?何を言ったら、何をしたら……アマダスが笑ってくれる?アマダス。私、分からないよ……
「我は……パランが無事で安心したぞ」
ぽつりと言ったアマダスの言葉が、私には一瞬理解出来なかった。私が無事でって……どうして自分の事を心配しないの。
そんなのずるいよ……
「私だって、アマダスが無事で良かったよ」
「我は、パランが好きじゃ」
「私だって……アマダスの事、好きだよ」
私の言葉に、アマダスの表情は柔らかくなり、私の目を見て嬉しそうに笑ってくれる。
……あっ、そっか。そうだよね。
「アマダス……助けてくれてありがとう」
私のこの言葉はきっと、アマダスが一番待っていた、一番欲しかった言葉。だからアマダスは、とびっきりの笑みで私に言葉を返してくれる。
「どういたしまして、じゃ!」
まだ涙が少し残っているその瞳は、初めて会って約束した時のように、とても嬉しそうで……私はそんなアマダスを見て涙が零れそうになる。
その瞳が、その表情が、私はどうしょうもないぐらい好きで好きでたまらない。
こんな事、今じゃないと言えない気がして、私は頬を赤くしながら思いっ切り言う。
「……好きだよ。大好きだよ」
恥ずかし過ぎてどうにかなりそう。だから私は、顔を見られないようアマダスにぎゅっと力いっぱい抱きついて、溢れ出てくる言葉をそのまま口にする。
「優しい所も、強い所も、可愛い所も……全部全部大好きだよ。もう絶対に泣かせないから。ずっとずっと傍にいて、二度と離れないから。一生の約束。もう絶対に破ったりしないから……愛してるよ、アマダス」
私の言葉にアマダスは何も返さなかった。どういう顔をして、何を思ったのかも分からない。
でも……ぽつりと嬉しそうに零した、本当に小さな小さな独り言が私の耳をくすぐった。
「……言い過ぎじゃ」
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