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28.決着

 白い光に吹き飛ばされて、地面を転がり壁に当たる直前、誰かが優しくて私を抱き止めてくれ、柔らかい感触に包まれる。


 目を開くと白いワンピースを着た、私の知っている可愛い少女の顔が視界に入ってきた。


「……アマダス」


「へー、来たんだ。流石、ドラゴンを倒しただけはあるね」


「パランに何をしておるんじゃ?」


 私には目もくれず、ザクロを睨みながら発した初めて聞くアマダスの低く怒った声は、どこか悲しく寂しそうだった。


 ザクロはそんな声に真逆の笑みを浮かべながら、楽しそうに答える。


「パランちゃんと、遊んでただけだよ?」


 その言葉に、アマダスの頬がぴくりと動く。それを見てか、ザクロは先程よりも更に楽しそうに笑いながら言う。


「仲間はずれにされたから怒ってるの?可愛い〜」


 その言葉に返すように、アマダスは踏み込んでザクロの顔めがけて綺麗な蹴りを入れる。


 けれどザクロは、素早くそれを躱したかと思うと笑いながら距離を取り、馬鹿にしたようにまた口を開く。


「あはは、遅いね。そんなに怒って、どうしたの?」


「『解放(バースト)』」


 ザクロの言葉を無視するように、今度は魔法を使って踏み込む。その蹴りは、先程のとは全く違い気が付くと、いつの間にかザクロは仰け反り、アマダスの足がザクロの顔の上ギリギリを通り抜けていた。


 物凄い風と共に放たれた、目にも止まらぬ速さの蹴りをなんとか避けたザクロは、顔から笑顔が消えて雰囲気が変わる。


 それに対比するように、アマダスは笑みを浮かべながら、口を開く。


「大丈夫か、お主?」


 アマダスが踏み込んだ地面を見れば、そこにはヒビが入り、ザクロの頬を見れば切り傷が出来ていた。


 ザクロはその切り傷を指でなぞって確認し、アマダスを睨みながら両手を広げる。


「本気でやろっかな。『解放(バースト)』」


 両手を振り下げナイフを出すと、一瞬でアマダスまで距離を詰め、ナイフで切り抜く。


 アマダスもそれに負けない速さ、動きでナイフを避け、ザクロに素手で攻撃する。


 一進一退のその攻防は、傷が、攻撃が入っても浅く互いにあと一歩の所で相手の攻撃を防ぎ切る。そんな戦いが縦横無尽に、路地の中で行われる。


 それはまさに圧巻だった。アマダスの白い魔力の残像と、ザクロの赤い目の光の残像が、互いにその場を支配して、風は暴れて、建物が揺れる。


 動けない私は、そんな戦いをただ壁にすがって見ることしか出来なくって……そんな自分が少し嫌になる。そのせいか、いつもは出てこない事が頭の中を巡りだす。


 最後の最後は結局いつも、アマダスに頼って迷惑をかけるてしまうそんな私が、アマダスの近くに居てもいいのだろうか。今日も全部、私のせい。アマダスは何も悪くないのに……


 そしてこんな時、いつも願うこれは、もっとずるくて卑怯なことだと思う。


 だけど……いつも心の底から願ってしまう。


「勝って……アマダス」


「当たり前、じゃ」


 アマダスの声に顔を上げると、丁度ザクロのお腹に一撃蹴りを入れて、蹴り飛ばしている所だった。


 蹴られたザクロは地面を転がり、壁にぶち当たる。そして、ふらふらしながらもこちらを思いっきり睨んできて、


「くそがっ!」


 そう捨て台詞を吐いて、路地の奥の方へと逃げていく。そんな弱々しい背中をアマダスは追いかけることはなく、私の方に向き直り歩いてくる。


 そして……


「ずっと一緒じゃ……そう、約束したじゃろ。忘れたのかパラン?」


 今にも泣きそうな声でそう言葉を零して、私に抱きついてきた。

面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、

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