26.鬼ごっこ
月明かりが部屋の中に差し込む時間。私は一人起き上がって、部屋から出る。
今日の夜にでも、そうザクロは言っていた。だからきっと襲ってくる。目的はたぶんお金。でも、どっちが持っているかは分からないはず。
だから私が持ち歩いて、誘い出せばいい。案の定、宿屋を出てから誰かが私をつけている。これでアマダスが襲われることはない。
このまま歩いて、人通りの多い所に……
「こんばんわ、パランちゃん」
私から少し離れた道の真ん中で、ザクロがフードを被って現れた。
それを見て私は走り出す。気配がなかった。でも……こっちに来た。
私は、飛び上がって家の屋根に飛び乗り駆ける。その後をザクロを含めた三人が付いてくる。
「『解放』」
私は、そのまま屋根を走り抜け地面に降りると、そのまま細い路地をひたすらに走って行く。
と、私の頬を掠めて何かが飛んできた。
「血……ナイフ?」
後ろをチラッと見ると、ザクロが何本ものナイフを持ってかいるのが分かる。
私は、壁を蹴って細い路地を上下左右に移動しながら、出来るだけ道を曲がっていく。何本ものナイフが風を切って飛んで来るけれど、めちゃくちゃに動いているおかげか、ナイフが私に当たることはなく壁に刺さる。
「ちょこまかと……猫みたいね」
ザクロが両手を上から下に振り下げたかと思うと、ナイフがまた、何本も握られていて……
「ほら、避けてみなさいっ!」
両手のナイフを一気に投げて来た。
「『集中認識』」
投げてきたナイフは……6、7本。何か嫌な予感がして、空中で身をひねって7本全てを避け、すぐに思いっ切り地面を踏み込んで、飛び上がる。
屋根にまた上がって、走り出すと目の前からいきなりナイフが3本飛んできた。
「ぐっ……」
何とか二本は避けれたけれど、一本が肩を掠る。どこから飛んできた?前には誰もいないはず……
私が、振り返ると先程の3本のナイフが、まるで意思を持ったようにぐるりと回ってまた私を狙ってくる。
「はぁ……はぁ……」
魔力がもう……私は何とか屋根から飛び降りて、ナイフを全て避け、路地を曲がる。
「パランちゃん。チェックメイトだよ」
曲がったその先に、フードを被った人達が何人もいて……引き返そうと振り返るけれど、後ろにも数人のフードを被った人達が。でも、ザクロがいる前よりは人数が少ない。
「ほら、おいで?」
ザクロが頭のフードを脱いで、赤い目を光らせながらこちらに近付いてくる。それを見て私は、振り返ってフードを被った人達めがけ、走り出す。
「『火炎玉』!」
私の魔法に一瞬驚きフードの人達はそれを避ける。その瞬間、道が空く。その一瞬の隙間を通り抜けて、私はまた夜の路地を走り出した。
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