25.デート
ザクロが出て、少し経つと動かなかった体がすんなりと動くようになる。
私は震える手で自分の服を掴んで、呼吸を落ち着かせようと、大きく息を吐き出す。心臓はバクバク鼓動して、暑くもないのに体から汗が吹き出る。
「大丈夫か、パラン?」
急にアマダスに話しかけられて、ビクッと体が跳ねる。
「だ、大丈夫だよ。気にしないで」
「でも、パラン汗が……」
「だ、大丈夫だって!ほら、剣見よう」
アマダスは心配そうに私を見てくれる。アマダスに話したほうがいい?……いや、やめよう。心配をかけれないし。
私は出来るだけいつも通り、アマダスの隣に行き一緒に剣を見る。
色々な長さ、大きさの剣があって、アマダスは悩んでいるようだった。
「これとかどう?」
「そうじゃな……もう少し大きい方がいい気がするぞ」
「それなら、オーダーメイドで作るかい?」
私とアマダスが悩んでいる様子を見てか、武器屋の大男が喋りかけてきた。
「オーダーメイド?とは何じゃ?」
「自分にあった世界で一つだけの武器のことさ」
「な、なんじゃ?凄いな、それ!パランも一緒に作らないか?」
「う、うん。いいよ」
「それなら決まりだな」
私とアマダスはこの後、剣についての要望を伝え、ついでにアマダスの防具も作ってもらうことになった。
「金貨が一枚と、銀貨五枚ね」
「どうぞ」
「はい、銀貨五枚のお釣りだよ。注文が立て込んでないからな、明日の昼には出来るはずだ。忘れるなよ?」
「分かりました」
「分かったぞ!」
お金を払ってすぐ、私とアマダスは武器屋を後にする。まだ外は、夕方と呼ぶには少し早い時間。暗くなる前に、甘い物を買わなくては。
「アマダス、こっち行こうか」
「そうじゃな……その、本当に大丈夫か?さっきからずっとパラン……」
「大丈夫だって!気にしないで、ね?」
「……そうか」
どこか悲しそうな表情で、前を向いてしまうアマダスに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。けど、きっと大丈夫。私一人で何とか出来るはず。何とかなるはず。だから……
「あっ、アマダス屋台だよ。色んな屋台があるね」
「そうじゃな」
「ここら辺は宿屋からはちょっと離れてるけど、こうやって屋台がいっぱいあるから、食べ物がちょっと安いんだよ」
「そうなのか。何か美味しいものはあるのか?」
「そうだね……アイスとかは?」
「それは、何じゃ?」
「食べてみたら分かるよ。行こう」
時々運が良くて稼げた時、よくここに来てご飯を買う。まさか誰かとここに来るなんて、そんな事を思いながら、アイスを二つ買って、宿屋へと帰る。
今日は楽しかった。本当に。また、アマダスと一緒に行けたら、いいな。
「アマダス、また来ようね」
「もちろんじゃ!絶対じゃぞ?パラン、約束じゃ」
アマダスの言葉に私は笑って、空を見る。綺麗な夕日が屋台と人をオレンジ色に照らしていた。
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