24.ザクロ
甘い物と言えば、ケーキかな?でも、ケーキを売っているお店なんか知らないし、どうしよう。まあ、ここら辺にはないはずだし、少し人が少ない所にまずは行こうかな。
私はそう決めて、人通りの少なそうな道を選んで歩きながら、アマダスに喋りかける。
「ねぇ、そう言えばアマダス、収納魔法覚えてたけど、どう?」
「この魔法、便利じゃぞ。パランが使い時はいつでも言ってくれ!」
私も昔教えてもらった記憶はあるけど、出来なかった。どうしてあんなにすんなり出来るんだろう?
「アマダスって、どうしてそんなに魔法を使うのが上手いの?私もアマダスみたいだったらいいのにな」
「んー、分からん。なんとなくじゃ。じゃが……」
「じゃが?」
アマダスが何故かそこで言葉を切ったので、首を傾げて聞くと、どこか懐かしいそうな表情で、私の顔を覗き込んで続きを言ってくれる。
「我も元々は全然だめじゃった気がする。ただ必要じゃから覚えたような……まあ、魔法は自由に使ってこそ魔法じゃろ?パランももっと自由にやってみたらどうだ?楽しくな」
楽しく、か。どこか凄くアマダスらしいその言葉に、私は笑みを浮かべながら、
「それもそうだね。ありがとう、アマダス」
「何故、礼を言うじゃ?」
アマダスの不思議そうな顔を眺めながら、道を曲がる。人通りが少し増えて、道も広くなる。そして、
「あれは……武器屋だ。あっ!アマダス、剣買う?」
「そうじゃったな。先に剣を買わねば」
アマダスと二人で、目の前の武器屋へ向かい、扉を開けて、中へと入る。
「らっしゃーい」
大男の声と、一人のお客さん。壁には剣と防具がかけられ、見る限り武器と防具しかない。私が片手剣を買ったのもたしかここ。そこそこ前だから記憶は曖昧だけど……
「凄いな。剣が沢山あるぞ!」
アマダスが、はしゃぎながらお店の中の剣をまじまじと見つめて、歩き回る。
そんな姿を見ながら、私もなにか良い物がないか探していると、
「ねぇ、お嬢さん。何を探しているの?」
黒髪のお姉さんに急に話しかけられた。私はびっくりしながらも、言葉を返す。
「片手剣を探してるんです」
「そう、どうして?」
「えっーと、その……壊れてしまったので」
「そう、ドラゴンの首を切ったからかしら、パランちゃん?」
「えっ……」
体の背筋が凍って動けなくなるような、そんな感覚と同時に、赤色の瞳で顔を覗かれて、ニヤリと笑みを浮かべられる。
「あ、あなたは……」
「私はザクロ。あっちにいる可愛いアマダスちゃんにも自己紹介してくるわ」
「ま、待って……」
か、体が動かない。まるで凍りついたみたいに……私が動けないでいると、ザクロはアマダスに近付いて、喋りかける。
「ねぇ、お名前は?」
「我はアマダスという。お主は?」
「ザクロっていうの。よろしくね」
「おお、よろしくじゃ!」
「それじゃ、また会いましょう」
ザクロはそう言うと武器屋の扉を開き、出て行く。そして、扉が閉まる瞬間ザクロは、まるで私の耳元で囁くように、冷たい声で言ってきた。
「今日の夜にでも」
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
☆☆☆☆☆
↓↓↓
★★★★★
広告下の星を1〜5個面白いと思っただけ押してポイントを!ついでに、いいね!と思ったらいいね!ボタンもポチッと!
よろしくお願いします。




