23.ラト
「おーい、パラン、パラン!」
アマダスに体を揺らされて、目が覚める。テーブルにあった料理は全て食べられていて、店員さんが片付けてくれている。
「アマダス……全部食べたの?」
「もちろんじゃ!どれも美味しかったぞ!」
アマダスから視線を動かして外を見ると、まだ全然昼。どうやら数分しか眠っていなかったらしい。それに安心して、
「それじゃ、お金を……」
テーブルの隅に置いた袋を取って、立ち上がり辺りを見渡して……ふと、気づく。今、お皿を片付けてくれている、眠たそうな女の人しかこのお店にいない。
「このお店って……」
「私一人しかいませんよ〜」
私の言葉の続きを眠たそうに言う女の人。一人であれだけの料理を、あんなに早く作ったらしい。
「お会計は、銀貨8枚ですぅ〜」
「えっーと、どうぞ」
「お釣りは銀貨2枚ですけどぉ〜」
金貨を一枚渡すと女の人はスカートのポッケから、銀貨二枚を取り出し私に見せてくる。けれど、渡されることはなく……
「その袋のまま持ち歩いてるとぉ、取られますよ〜?だから〜、収納魔法でも、教えてあげましょうか〜?」
少し笑みを浮かべて、私ではなくアマダスを見て言う。
「収納魔法……どんな魔法なんじゃ?」
「こんな魔法です〜」
そう言って、空中に真ん中が描かれていない水色の魔法陣を出現させ、銀貨を放り込む。
そして、また銀貨を取り出して、
「物を片付けられるんです〜」
「おお、凄いな!我もやるぞ、こうか!」
「な〜んだ、使えるなら最初から言ってくださいよぉ〜」
そう言って女の人は銀貨を私に返してくれるけれど……たぶん、いや絶対、アマダスは見て真似して完璧に出来ちゃっただけで、最初から使えたわけじゃない。
「あ、あのお礼です。ご飯美味しかったですから……」
私は少しだけ申し訳なくなって、銀貨を二枚返す。すると、
「わ〜、嬉しいですぅ〜。私は〜、ラトって言うんですけどぉ〜、お名前は?」
「私はパランです」
「我はアマダスじゃ!」
「そうですか〜。また、来てくださいね?」
「は、はい」
「おう、もちろんじゃ!」
私とアマダスの返事にどことなく嬉しそうなラトは、銀貨をポッケにしまって、笑う。
「ありがとうございましたぁ〜」
お店を出てすぐ、どこに行くかを決めることなく歩き始める。金貨が詰まった袋は、アマダスが先程覚えた収納魔法で片付けたので、取られる心配もなければ、疲れる心配もない。
「アマダス、どこ行く?」
「んー、甘い物が食べたいぞ!フレンチトースト?みたいな」
「えっ……そういえばアマダス。今どれぐらいお腹いっぱい?」
「そうじゃな……半分ぐらいじゃ!」
アマダスの言葉に私は少しビビりながらも、甘い物が食べれるお店を出来るだけゆっくりと探し始めた。
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