21.料理
街の中を歩きながら、お店を探す。稼ぎの少ない冒険者にとっては、お店でご飯を食べるなんて、結構な贅沢。
だから、私はこの王国に2年いるけれど、美味しいお店を全く知らない。
「ねぇアマダス、何食べよっか?」
隣で金貨が沢山入った袋を握りしめて、付いて来てくれているアマダスにそう聞くと、キョロキョロと辺りを見渡してから、指を指して言う。
「んー、あそこはどうじゃ?」
指した先には、この街の中でも少し異質な古いお店が。けれど、他と比べてお客さんが少ないような……でも、せっかくアマダスがそう言ったのなら、入らない訳にはいかない。
「よし。じゃ、まずはあそこに行こう」
「おう!」
アマダスの嬉しそうな返事と共に歩き、お店の前へ。初めて入るお店に少し緊張しながらも扉を開けて、アマダスと一緒に中へと入る。
「いらっしゃいませ〜」
眠たそうな声を聞きながら、お店の中を見ると店員以外誰もいない。
ちょっとやばい所に来たかも……私はそう思いながらもアマダスを見ると、意外にもアマダスはスタスタと歩いて行き、窓が隣にある席を取る。
「パラン、早く早く!」
そして、手招きをしながら私を呼んでくれる。私はそれにどこか安心して、アマダスの向かいの席に座って、メニューを取る。
「オムライス……フレンチトースト……肉団子……魔物肉の丸焼き……ハンバーグ……」
このお店、肉料理多くない?ものすごい数あるんだけど……
「ええっと……どうする?」
チラッとアマダスに視線を向けてそう聞くと、アマダスはどこかつまらなそうに外を見ていた。
「アマダス?」
「な、なんじゃ?」
「どうしたの?」
「いや、我は文字が分からん」
そうだ……何でも出来るから忘れてたけど、アマダスは文字の読み書きが出来ないんだった。
えっーと……どうしよう。あんなに嬉しそうだったアマダスが今はつまらなそうで、私どうすれば……
「アマダス。取り敢えずいっぱい頼むね!」
「わ、分かったぞ」
私の言葉に少し驚きながらも頷いてくれたので、私は立ち上がって、手を挙げる。
するとすぐに、店員の人が駆けつけてくれたので、メニューを見せながら言う。
「こっからここまで全部一つずつ」
私のその言葉に、今度は店員の人が眠たげな目を見開いて驚く。
「こっから、ここまで……わ、分かりました」
私はその言葉を聞いて、アマダスの隣に座る。そして、体を寄せてぎゅっとくっ付き、メニューを見せる。
「アマダス、文字教えてあげる」
その言葉に、アマダスは嬉しそうな表情で私の手を握ると、嬉々として口を開く。
「教えてくれ、パラン!」
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
☆☆☆☆☆
↓↓↓
★★★★★
広告下の星を1〜5個面白いと思っただけ押してポイントを!ついでに、いいね!と思ったらいいね!ボタンもポチッと!
よろしくお願いします。




