18.決意
ドラゴンの頭が落ちると同時、アマダスは綺麗に地面へと着地する。
そして、嬉しそうに振り返り腕を上げて、剣を上に突き立て手を振る。と、音を立てて私の剣にひびが入ったかと思うと、音を立てて砕けた。
アマダスは一瞬、きょとんとした顔をするけれど、すぐに泣きそうな顔になって、あわあわし出す。
「パ、パランの剣が……す、すまん。我のせいだ。何でもするから……じゃから許してくれ、パラン」
こんな可愛いアマダス、きっとこの先中々見れない。そう思うと笑い声が口から溢れる。
「あはは、アマダス……」
楽になった体で、可愛く焦っているアマダスに近付くと、怒られると思っているのか、目をぎゅっと閉じて自分の服を握りしめる。
そんなアマダスに私は優しく抱きついて、頭を撫でてあげる。
「怒らないよ、アマダス。よく頑張ったね。偉い子、偉い子」
「じゃ、じゃが……パランの剣を我は……」
「それぐらい気にしなくてもいいよ、ね?」
私の言葉にアマダスは首を振る。どうやら本気で気にしているらしい。
「どうして?ドラゴンを倒したんだから、そのお金で新しい剣が買えるし。いいって」
「だ、大事な剣じゃ……」
「アマダスのほうが大事だから。アマダスが生きてるならそれでいいの。そんな気にしないで、アマダス」
頭を撫でるのをやめて、頬を両手で触って顔を上げさせると、アマダスの顔が少し赤くなっている。私はそんな顔を見ながら、優しく言う。
「帰ろっか」
「……うん」
◇●◇●
鳥の鳴き声が聞こえて目を開けると、朝日が既に窓から差し込んでいた。
「もう……朝」
私は目を擦りながら起き上がろうとして、アマダスに抱きつかれている事に気付く。
「アマダス、起きて」
「……すぅ」
体を揺らしても起きる気配がない。仕方なく私はアマダスの手をどけて、立ち上がるといつものように一階へ。
「おはよう、パランちゃん。友達のもね」
「ありがとうございます」
カタラさんに昨日と同じ、パンが入った紙袋を二つ貰ってまた二階に。私が扉を開けると、アマダスはベッドに座り、眠そうにあくびをしていた。
「パラン……おはよう……」
「おはよ、アマダス。はい」
私が紙袋を一つ手渡し、二人で朝ご飯。もし、ドラゴンの買い取りが高かったら、パンに合うジャムを買おう。この後、冒険者協会に行った帰りにでも。
「パランは、食べるのが遅いな」
「アマダスが早すぎるだけでしょ?」
私がアマダスに言い返すと、アマダスのお腹が可愛くなる。そう言えば……昨日は朝にパンしか食べさせていない。忘れてた……色々あって。
「ごめんね、アマダス」
「なんで謝るんじゃ?」
「ご飯食べさせてないから……でも、今日はいっぱい食べさせてあげるから。だから……」
私の言葉をアマダスは遮って、当たり前のように言う。
「我はパランとご飯が食べれるなら、それでいいぞ?」
そんなアマダスの優しい言葉を聞いて、私は最後のパンを口に入れ、立ち上がる。
パンを飲み込んでから手を伸ばし、心に誓いながら言う。
「行こう、アマダス。食べたい物、なんでも買ってあげる」
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