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16.大切な物

 

「逃げろ!」


 ここは……どこじゃ?


「このままでは死ぬ。行け!」


 お主は一体……


「アマダス……また会おう」


 待て……我を置いて行くな、まだ我はお主を……


 ○◆○◆


 ドラゴンが出現させた火の玉が、私を(かす)めて大きく爆発する。


 今まで受けたこともないそんな爆発の威力に、私はアマダスを抱いたまま吹き飛び、柱にぶつかる。


「うがっ……ぐっ……」


 背中におかしい程の痛みが走って、立ち上がることすらままならない。


 そんな私を見ながら、ドラゴンはまた魔力を纏うと、白い体をギラッと光らせ、ものすごい速度で突進してくる。


「【解放(バースト)】」


 その突進を一時的に身体能力と魔力を上げて、風魔法で何とか避けて、アマダスを抱いてドラゴンから距離を取る。


「アマダス起きて!アマダスっ!」


 アマダスは起きる気配がまるでない。このままだと、私とアマダスはドラゴンに殺されて終わり。そんなの私は絶対に嫌。


 でも……体が少しずつだるくなっていく。さっきの魔法の反動だ。


 ドラゴンは、それをまるで分かっているかのように、風魔法を使って私を吹き飛ばす。


 何とか私も風魔法で相殺しようと、押し返すけれど、相殺し切れず、柱にまたぶつかる。


「あがっ………」


 アマダスは何とか無事。傷一つ付いていない。


「……はぁ……はぁ……」


 問題は私。もう、痛くて立ち上がれない。息が上がって、血が服に染みて……魔力もほぼ残っていない。


 アマダス、起きて。


「『ヒール』」


 残りの魔力を全て回復魔法に使い、初めて会った時と同じ様にアマダスを回復させる。


 どうして私に使わなかったんだろうと思いながら、アマダスの頭を軽く撫でて……


「殺すなら……先に私を殺してみろ、ドラゴン」


 最後の力を振り絞って、最後の言葉を言う。ドラゴンはそんな私を馬鹿にするように、笑みを浮かべて、翼を広げ、火の玉を出現させる。


 アマダス……楽しかったよ。ありがとう。


 私は笑って、ぎゅっとアマダスの服を掴む。


 そして、ドラゴンの瞳と同じ色の青い炎が……空中で大爆発を起こし瞬間、辺りが白い光に包まれたかと思うと、アマダスの声が耳元で響く。


「パラン、大丈夫か?」


 そんな安心させてくれる声に私は、声を振り絞って頷く。


「……うん!」


 やがて光が消えて、辺りが見えるようになる。アマダスは私に背中を向けて立ち上がり、振り返って手を伸ばしてくれる。


 でもその瞬間、明らかにアマダスの表情がカラッと変わる。そして、アマダスは私の頬に手を置くと、アマダスの魔力が私を覆い、痛みが和らぐ。


 そして、アマダスは初めて怒った様な声色で拳を握り締めながら、口を開いた。


「死ね、ドラゴン」

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