エピローグ
「……というわけよ」
お母様とお父様の馴れ初めを初めて聞いた私は、大興奮していた。
「お母様達ってそんな激しい恋愛だったの?」
「そうね」
「お父様格好いいわ!素敵!」
「あら、今頃気が付いたの?」
お母様はふふっと綺麗に微笑んだ。
「お父様に出逢ったお母様みたいに、いつか私だけを好きって言ってくれる男性が現れるでしょうか?」
「現れるわよ。絶対にね」
私はどんな小説よりも、両親の素敵なエピソードに胸が熱くなった。
「でも私もてないんですよね」
「そう思っているのはあなただけよ」
「えー?だって男性に声をかけられないし。顔だってお父様そっくりの男顔ですもの」
「あら、贅沢ね。ロバートに似て美人なこと自覚しなさい」
お母様はそう言ってくれるが、私はお母様みたいに女性らしい背が小さくて可愛いお顔立ちに憧れるのだ。
「運命の相手は、心で選ぶのよ」
「心で……」
「そうすれば、昔の私みたいにしょうもない男に引っかかることはないわ」
お母様は私の頭をよしよしと撫でた。その時に、玄関から物音が聞こえてきた。お父様が帰ってきたんだわ!
思春期になった私は、お父様の溺愛っぷりが少し鬱陶しくなっていた。大好きだし、格好いいし、尊敬しているけど、かなり心配性なのだ。
でも!今日はお母様の話を聞いたから、お父様への好感度が爆上がりしている。
「私、お父様のお迎え行ってくる!」
「ええ。きっと喜ぶわよ」
私はパタパタと玄関に走って行った。
「お父様っ!おかえりないませ。お疲れ様でした」
ガバッと勢いよく抱きつくと、驚いたお父様は少しよろけながらもしっかりと私をキャッチした。
「うわぁ、驚いた。ただいま。ミシェル、急にどうしたんだ?」
「なんだか久々にお出迎えしたくなったの!お父様、大好きよ」
私はお父様の頬にチュッとキスをしたら、少し照れていた。
「ミシェル、何か欲しいものでもあるのかい?」
「別にありませんわ」
「そ、そうか」
そんな私達の様子をお母様はくすくすと笑いながら、楽しそうに見ていた。最近少し冷たかった私が出迎えたのでお父様は嬉しい半分、戸惑い半分だ。
「ロバート、お帰りなさい。ミシェルはあなたがまた大好きになったらしいわ」
「それは嬉しいな」
お父様は私の頬にチュッとキスを返した。お母様にそんなことを言われて、私はなんだか急に恥ずかしくなった。
「も、もう私はリビングに戻るわね」
ああ、お母様にはお父様がいていいなぁ。私の夢は二つある。一つは一人前の治癒士になりたい。そして、二つめは素敵な恋がしてみたい。
だけど女性なのに治癒士の力を持ち、戦場に行くような私を好きになってくれる男性がいるのだろうか?
背が高くて男顔の私は学校では女性達にはキャーキャー言われるが、正直男性には全くもてない。もてないどころか嫌われている。
『戦場に行くような野蛮な女と付き合う男などいるのか』
そんな酷いことを裏で言われていたこともある。でも、いたらいいな。私のことを「心」で選んでくれる男性に。
私はまだ現れていない未来の旦那様に、きっといつか逢えると胸を高鳴らせた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。娘のミシェルの話は『もてない私が騎士団長に好かれているのはなぜですか?』です。もしよろしければ読んでいただけると嬉しいです。




