94[変えたい今]
鬼「愚かだね。」
悪「…………」
鬼「本当に愚かだよ。君がしようとしている事は。」
そんなことわかっている。
鬼「君に私を殺せるの?…この問いをするのは2回目だ。」
この問いに怒るのは2度目だ。
鬼「この百年間、ずっ……とメアのことだけを思って生きてきたんだ。会えなくても、話せなくても、彼女のことが知りたくて。また会いたくて。」
鬼「だから知ってるよ?君たち兄妹にかけられた『呪い』のことも。君が作った『偽物の現実』も。」
呪いなんて今更の話だ。
偽物じゃない、現実だ。
俺が現実にした。
鬼「魔王シアは妹の幸せを優先する。それは何を置いても覆らない絶対。だったら、本来勝てないとわかっている相手の所へ単身で乗り込むのが如何に愚策かは理解しているだろう。」
鬼「つまり君は、 我慢ができなかったわけだ。私という異物の存在が許せない。自分が死ぬことで彼女が不幸になったとしても。彼女の幸福より自分の欲求を優先した。」
違う。
俺はお前を殺す。
鬼を殺して悪は幸を手に入れる。
鬼「あぁ、言い方が気に食わなかったかな?じゃあ表現を変えるけど……」
鬼「…また彼女の幸せを『変える』つもりだったのかな?」




