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【書き直し】魔王メアの統べるところには。  作者: 紫暮りら
吸血鬼編
70/136

70 後悔

キール。


以前メアの元を訪れたという吸血鬼。


どうやらそいつは吸血鬼の頂点に君臨する存在、『彼岸の王』であるらしかった。


クロウ「いいかっ…シア、キールの狙いは、魔王メアだ。奴はメアを……『血の花嫁』にするつもりだ…っ」


『血の花嫁』。


それは『彼岸の王』が生涯の伴侶となる存在として選び、死に至るまでその者の血しか吸わぬという番のこと。


吸血鬼と交流の多い悪魔なら聞いたことくらいはある。


シア「『血の花嫁』……何故、メアが、」


クロウ「それはわからん。だが…先の天使との交戦で、魔王メアはキールに助けられたようだった。」


シア「は?」


クロウ「事情はよくわからない、が……眷属に聞かされた話によると、キールは魔王メアを無理やり伴侶として迎えるつもりは無いらしい。」


シア「………眷属に何を吹き込まれたのかは知らないが…」


クロウ「わかっている。……結局、魔王メアが危険であることに変わりはないっ…ぐっ、」


シア「クロっ!!」


クロウ「…まっ、ずい、な……血が足りてない、みてぇだ……はぁっ、ははっ」


シア「………」


クロウ「そんな顔すんなって。……あぁそれとっ、俺を襲った眷属はキールのじゃない。」


シア「なに?」


クロウ「キールは眷属をひとつも持っていないらしい。……この刻印は、取り巻きの奴らのものだ。」


シア「お前がこれほどまで一方的にやられることなど…」


クロウ「メアを持ち出されちゃ、暴れようにも暴れられねぇよ……それに、大人しくしているだけでここまでの情報が手に入ったんだ。」


安いもんだろ、とクロウは肩をすくめようとする。


しかし刻印を埋め込まれた体に響くのか、直ぐに顔を顰めた。


シア「……感謝する、クロ。」


クロウ「どういたしまして。……あぁそれと、この話は全て『真偽の眼』で確認してる。俺がよっぽど馬鹿になってない限り、今言ったことは本当…のはずだ。」


クロウ「連中、かなり焦ってるみたいだったぜ。…まぁ取り巻きつっても、上層部のお貴族様だろうがな……彼岸の王が番に悪魔を、それも魔王を迎えたいって聞かなきゃ、焦りもするか……」


シア「吸血鬼の、しかも貴族か。」


クロウ「シア、これはことによっちゃあ戦争になる。…はやく、対策をっ、」


シア「あぁ。……それで、お前は、」


クロウ「俺は…この刻印を消すこたァ出来ないが、奴らに会わなきゃそこまで害はねぇ……血も体力も寝たら治るさ。」


シア「すまない……」


クロウ「何柄でもねぇことを、わ、るいが…ここで休ませてくれ……」


そう言い残し、力尽きたクロウは深い眠りについた。


シアはクロウを蝕む刻印を睨みつける。


クロウは血を抜かれ死人のような表情になっているというのに、刻印はまるで生きているかのような光を放っていた。


シア「………これは、俺の失態だ……」


シアは心の中でクロウとメアに懺悔する。


シア「すまない……本当に。俺があの時あいつを…………キールを、殺しておけば。」


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