7 天使は理不尽を許さない
場所は地上から高く離れた宙。
与えられた小さな部屋の一角で、天使ルシアは仲間に怒りをぶちまけていた。
「まずね!?なんで悪魔が空飛べるのよ!!おかしいでしょ!?」
「いや知らねぇよ……」
それを見てやれやれまたかと言わんばかりのため息をつくミラ。
「飛べるのはまだいいわよ!一万歩くらい譲ってまだね!!それよりも私が言いたいのは高度のことよ!!天使の支配する空域に侵入されでもしたら大問題どころの話じゃないわ!」
そんなミラや円卓に座っているキュロルやベーヌにはお構い無しに、ルシアはなおも捲したてる。
ルシア「私達は神から白き翼を頂いているけど、あいつらは神の祝福を受けていない。その癖に黒く禍々しいものを………ぐぬぬぬ、」
「そんなこと言ったって…」
「言いたいことはわかるけどさ…」
キュロルやベーヌの諦めた様な口ぶりにルシアの怒りは益々燃え上がる。
「とーーにーーかーーく!!理不尽だって言いたいの、私は!!しかもあいつらの方がなんか強いしめっちゃ天使を目の敵にしてくるし、もう何人羽をもがれて堕天したか……」
「目の敵にしてるのはお互い様でしょうに…」
天使と悪魔の仲は悪い。
この上なく。
「聞くところによると、つい最近低空飛行中の偵察隊が、魔王と思われる悪魔に全員羽根をもがれたそうですよ。」
キュロルの他人事のような報告にルシアは焦る。
このままじゃいけない。
このままだと私は……
「くっ………こうしちゃいられないわ。悪魔どもに全員羽根をもがれる前に、なんとか対策を立てないと………」