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51 あなたは変わっていないね
メア「あ〜心傷ついたぁ〜リキのせいで傷ついちゃった〜」
リキ「濡れ衣はやめろぉ!自分のせいだろ!?」
メア「ちがうしぃ〜」
リキ「もぉぉ、」
メア「…でもちょっとおちついた。ありがとう。」
リキ「べつに俺は、なんもしてねぇよ。」
メア「そんなことないよ。」
魔王は遠い空を眺める。
リキにはその視線がとても悲しいものに映った。
リキ「なぁ…、」
もう少しここにいるか?という甘い提案は、突然巻き起こった突風に掻き消される。
メア「なっ……」
リキ「なんだ!?これ…っ」
風が止むと上空に人影が見えた。
人間であるリキは悪魔より視力が弱い。
それでもわかる。
あの純白の翼は………
リキ「天、使……?」
そういえば天使と悪魔ってずいぶんと仲が悪いんじゃなかったっけ…
嫌な予感を感じながら隣を見ると、そこにいた悪魔の表情で自体はもっと深刻なのだと悟った。
リキ「お、おい!どうしたんだ!?」
口を開け、呆然としている名も知らない悪魔の方を揺する。
メア「ぅ、……そ、」
今にも泣きだしそうな、美しい顔。
彼女は、俺を見てはくれなかった。




