43 これでも元天使ですから
ルシア「でも、思ったんだけど、よく考えてみれば私がルイ、とくにクレイとふつーに話してるのって、奇跡よね?」
ルイ「そうですねー、僕としては初めは殺す気満々でしたから。」
ルシア「うっわさいてー」
ルイ「逆の立場だったらと考えてみてくださいよ…」
ルシア「まぁルイは魔王の犬だから別として、クレイよ。嫌がらせの一つや二つ、してもおかしくない?」
ルイ「犬って……」
メア「ルイ、お手。」
ルイ「いじめですか!?」
クレイ「私は我が君の決定には忠実に従います。我が君があなたを殺さないと決められたのであれば、それを守るだけです。」
ルシア「そうはいってもねぇ…なかなか出来ることじゃないよ、それ。うちの上位天使たちの中にも悪魔をクロウレベルで嫌ってる奴いたけど…あれはやばいよ、外に出すのもままならない。」
メア「上位天使…どんなやつがいるんだ?」
ルシア「そうね…有名どころをいえば、上位天使ルミエル・イアエルあたりかな。」
ルイ「天使の常識で有名を語られても…」
ルシア「うっさいルイ。…とにかく、特にその2人は悪魔嫌いで有名だった。位階序列ツートップの2人だから私も実際には会ったことないけど、天使の中でその名を知らないものはいないくらい。」
メア「へえぇ……天使にも序列とかあるんだな…ちなみに、上位天使って何人いるんだ?」
ルシア「上位天使は3人。階級は上・中・下に分けられてその下に3人の中位天使、その他の有象無象は下位天使に分類されるわ。」
メア「下位天使…もしかして、私が羽根もぎってたやつ、あれは下位天使か?」
ルシア「そう。」
ルシアはストローでジュースを飲みながら興味なさげに言う。
下位天使はあの程度なら大丈夫にせよ、上位・中位天使は厄介そうだと魔王は思った。
メア「上位天使か……そのうち2人が強烈な悪魔嫌い。…うーむ、元天使のルシアですら分からないほどの力、どれほどなのか…」
ルシア「イアエルやルミエルに至っては天使の経典にも出てくるくらいだから、かなり古い天使ってことは知ってる。特にイアエルの力は神の御業と思わせるほどとか。」
メア「神ねぇ………」
胡散臭いと言わんばかりに嫌そうな顔をする魔王にルシアは嬉しくなってくる。
ルシア「あんたのそーゆーとこ、好きよ。」
メア「なにっ!?ルイ今の聞いた!?ルシアが!好きって!!」
ルイ「えぇ聞きました魔王様。今、確かに『好き』と言いました!!」
ルシア「あーーもうなんなのお前らっ!」
メア「中位…中位天使かー、殺せるかな?」
ルシア「魔王なら殺れるでしょ。よゆーよゆー。」
メア「そうかなぁ。」
ルシア「なによ、珍しく弱気ね。」
メア「そりゃ弱気にもなるよー、だって今初めて天使の階級について知ったんだから。」
ルシア「まぁ大丈夫でしょ、中位天使2人くらい。ルイとクレイもいれば十分よ。」
メア「え?3人じゃないの?」
ルシア「2人よ。」
メア「?」
ルシア「…2人だって。」
メア「え、でも中位天使は3人って」
ルシア「だからっ!!3人のうちひとりは悪魔好きなの!!」
メア「へえぇ〜そうなのか!!それは是非会ってみたいな!!なぁルイ、クレイ!!」
ルイ「……………」
クレイ「……………」
メア「え、どうしたんだ?2人とも。」
ルイ「ルシア……」
クレイ「まさか……」
メア「ん?」
ルシア「魔王あんたあたまに花でも咲いてるわけ!?ちょっとは考えてよ!!」
メア「えぇ!?なんで私けなされてるの!?意味わかんない!!」
ルシア「はぁ……だから、私よ。」
ルシア「3人の中位天使の最下位、能天使ルシエル。それが私の前の名よ。」




