37 貴方を傷つけたいわけじゃなかった
シア「メアの無事も確認できたことだし、俺達はそろそろおいとましようか。ね、クロ?」
クロウ「…あぁ、そうだな。」
メア「えっ、もう帰っちゃうの?」
シア「うん、顔を見に来ただけだからね。メアが楽しそうでよかったよ。」
メア「うん……」
シア「そんな悲しそうな顔をしないでおくれ。またすぐ訪ねに来るから。」
クロウ「クレイ……」
クレイ「兄上、あなたと話すことはありません。我が君をこれ以上悲しませない為にも、もう帰ってください。」
クロウ「っ……」
クレイ「…兄上、結局私は、あなたの行いを理解することが出来ませんでした。主よりも友を優先する…?そんなことがあっていいはずがない。」
クロウ「…………」
クレイ「魔王シア様は我が君の兄君として敬意こそ払っておりますが、私たちが命を差し出した相手は魔王メア様だったはずです。」
クロウ「…………」
クレイ「……言い訳もしないのですかっ…!」
抑えきれない怒りに、クレイは拳を振り上げる。
メア「もういいよっ、クレイっ!!」
そのとき、いつから居たのか魔王メアが仲裁に入った。
クレイ「我が君…!!」
メア「もういいの。クレイ。私は、大丈夫だからっ。」
クレイ「…わかりました。」
メア「ん。…お兄ちゃん、またね。」
シア「あぁ、また来るよ。俺の愛しいメア。」




