33 私ともう1人の存在
「ァ…ルシア…っ!!起きてよっルシアっ!!」
目を開けると、魔王にもらった部屋のベッドの上だった。
どうやら私は助かったらしい。
傍には半泣きしている魔王と、その兄シア、ルイ、クレイ、そして私の首を絞めた男が勢揃いしていた。
なんなんだ、このメンツは。
「魔王……これはいったい、」
「よかったぁぁルシア〜〜目を覚まさなかったらどうしようかと…ぐすっ」
「泣くな!てか痛い!胸!胸に潰されるっ!!」
「え〜〜」
「えーじゃない!はなれろぉぉ」
魔王「でも本当によかった。もしあそこでルシアが死んでいたら私、クロウを殺していただろうから。」
魔王はとびきりの笑顔でさらっと殺害発言をした。
ルシア「えっ…と、クロウというのは?」
首を絞めてきた男を見ると、睨み返された。
シア「こーーらっ、クロ。ルシアさんが怯えてるでしょ。駄目じゃないか、そんなに睨んだら。」
クロウ「だがシアっ!こいつは天使、」
シア「はぁーいだまってー?」
クロウ「ぐっ……」
シア「ルシアさん、俺の友人が無礼を働いたようですまない。どうかクレイに免じて許してやってはもらえないだろうか。」
クレイ?なぜクレイがでてくる……
メア「クロウはね、クレイの兄なの。」
なるほど。
ルシア「別に…怒ってない。だって、私が逆の立場なら同じことをしただろうから……」
ルシア「それに、ユマはあなたを慕っていたみたいだし。」
そういうと、シアが驚いたような顔をした。
シア「ユマを、知っているのかい?」
そういうので、私は今はすっかり体の一部と化した黒き翼を広げて見せる。
クロウ「シアっ…この翼は、」
シア「……あぁ、間違いない。ユマのものだ。」
初めて緊張した表情を見せたシアと、再び睨んでくるクロウに、真実を語った。
まぁ、何かあっても魔王が何とかしてくれるだろう。
そう思って。




