表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/136

32 元天使というレッテル

何が起きたのかわからなかった。


「くっ……はっ……」


いつの間にか地面に押さえつけられ、息ができない。


ひゅうひゅうと喉がなる。


嗚呼、これは2回目だ。


1回目は魔王と出会った時の……


「天使が。ここで何をしている。」


声の主は恐ろしく低い声で地面から空中へ私を持上げる。


しかし返事をしようにも首を抑えられていては声が出せない。


「あぁ、言わなくていい。どうせ天使の考えていることなんてろくなことではないだろうからな。」


その言葉に涙が溢れそうになった。


『私はもう天使じゃない。悪魔だ。』


そう、言いたかった。


「幸い、シアと妹君からここは死角だ。あいつは気づいていただろうがな。妹君を傷つけたくなかったんだろう。」


もう、そろそろ意識が限界だ。


誰か………




「兄上?」


途切れそうになる意識の端に、困惑した表情のクレイが見えた。


「クレイか。」


「あ、兄上、何をしているのですか!ルシアをはなしてください!!」


「は?お前、寝ぼけているのか?これは天使だぞ!?」


「知っていますそんなこと!いいからルシアをはなしてください!!」


「そんなことだと………?天使をみすみす逃がせというのか!!」


「ルシアもう天使ではありません!!立派な悪魔です!!」


途切れる意識の中で、その言葉はとても暖かく心に響いた。


(クレイ、私、あなたのこと勘違いしてたのかもしれない。)


そうしてルシアは、糸の切れた人形と化した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ