31 まだ1年も経っていないというのに
シア「やぁメア、久しぶり。遊びに来たよ。」
メア「あっ、兄上!!お久しぶりです…」
シア「ふふ、本当に久しぶりだね。10年ぶり?100年ぶり?とにかく君の無事な姿が見られてよかったよ。」
メア「ぁっ、兄上…!くるしぃです……」
シア「あぁそうかそうか、ごめんね。メアが可愛くてつい。」
メア「ついじゃありませんよ、もぉーー…」
シア「ふふっ、そんなに膨れないでおくれ、メア。そんな君も可愛いけれど。」
ルシア「……………………なに、あれ。」
ルイ「……魔王シア様、我々のお使いするメア様の兄君にあらせられます。」
ルシア「いや見たらわかるわよそれくらい……そうじゃなくて、」
ルイ「言わないでください。」
ルシア「……は?」
ルイ「察してください………」
ルシア「…………………………」
シア「そうだメア、『兄上』じゃなくて『お兄ちゃん』だろう?」
メア「ぅぇ!?あの、その、それは……」
シア「ほら、言ってごらん?」
メア「お、おにぃ、ちゃ…ん。」
シア「よく言えたね、メア。そうだよ、俺はお兄ちゃんだ。」
兄魔王はそれは嬉しそうに妹の頭を撫でた。
メア「はい……」
そして妹は恥ずかしそうに俯いた。
ルシア「誰だよ、あれ……」
ルシアの目には吐き気をもよおすほど大人しい魔王の姿が、まるで幻のように写っていた。




