20 吸血鬼の求婚
数年経っています
「こんばんは、悪魔の姫よ。あなたの血を頂きに参上しました。」
……………
「「「だれ!?!?」」」
ルイ「吸血鬼ですか……」
キール「そうです!私は吸血鬼のキール。以後お見知り置きを、悪魔の姫。」
メア「は、はぁ…どうも。」
ルイ「どうも。じゃないですよ魔王様!!こいつなんなんですか早く追い出しましょう!!(小声)」
キール「そんな寂しいこと言わないでくださいよ、近侍さん。」
ルイ「ぬわぁあっ!?」
ルシア「…それで?吸血鬼が、なんのようなの?」
キール「おや…あなたからはあの汚らわしい天使の匂いがしますねぇ……あなたは悪魔ではないのですか?」
ルイ「悪魔とも吸血鬼とも仲が悪いって、天使友達いなさすぎかよ…」
ルシア「うっさい!!味方はいたし!!」
ルイ「その味方だった神に裏切られて悪魔にされたのはどこのどなただったですかねー?」
ルシア「ああ゛!?」
今ではすっかり仲のいいルイとルシア。
ルイ「いっやいや、仲良くありませんからね!?魔王様!!」
ルシア「そーよ!!なんでこんなやつと仲良くしなきゃなんないのよ!!」
メア「やっぱりなかよしじゃん。」
ルイ・ルシア「「仲良くない!!!」」
キール「あの〜私の話、聞いていただけます?」
ルイ「元はと言えばお前が天使の話を振ったんだろうが!!」
ルシア「そうだそうだ!!帰れ!!」
キール「なんて酷い…嗚呼、姫よ、貴方は私を追い返したりしませんよね?」
メア「うーん、そうだなぁ…ルイとルシアがお前に帰って欲しいと言うなら、追い返さないと…」
キール「そんなっ……」
ルイ「帰って欲しいです!」
ルシア「かーえーれ!かーえーれ!!」
キール「くっ……」
メア「悪いな、今日のところは帰ってくれ。」
キール「わ…かりました……」
メア「あっ、それとなキール、」
窓から飛び降りようとしていたキールが振り返る。
キール「なんでしょう、姫。」
メア「その姫っていうの、私じゃないと思うぞ。私は姫って柄でもないしな。」
そういって魔王は笑う。
ルイ「ガサツですしね。」
ルシア「どっちかというと、おっさん?」
メア「ふ、ふたりともぉー!!それはあまりにも酷すぎやしないか!?主に対して!!」
ルイ「本当のことですから。」
ルシア「ほんとのことだもん。」
メア「あー!!もうしらないっ!!ルイとルシアなんてしーーーらないっっ!!!」
そんな魔王を見て、吸血鬼はくすりと笑う。
愛情に溢れた眼差しを名残惜しそうに滲ませ、真夜中の闇に飛んだ。
こうして、当の吸血鬼を完全に無視し、魔王の一日は終わったのだった。




