2 君の嫌いなものは私が
(あ〜もう、どうなっても知りませんからね〜…)
窓から飛び出して行った魔王様は数十分後、何事も無かったかのように天使の羽を抱えて戻ってきた。
「ついて来い」と言われたから仕方なくついてきたが、こうなってくるともうクレイ様が気の毒で仕方がなくなってくる。
(見てられない…)
「ク、クレイ、今日はプレゼントがあるんだけど……」
「ありがとうございます。大切に…」
「天使の羽だ!クレイは天使が大っ嫌いだから、代わりに私がもぎってきたんだ!!」
「……………………」
間。
クレイ様硬直してる。
そりゃそうだ、敬愛する君主からこの世で最も嫌いなものの一部をプレゼントされて素直に喜べるわけがない。
むしろ顔色を変えなかったことに尊敬する。
「煮ても焼いても引き千切ってもいいぞ!!…い、いや、だったか?」
「いえ、我が君のお手を煩わせてしまい、申し訳ございません。次は私が必ず駆除致しますので。」
「いっ、いいんだいいんだ気にするな!私がむしりたい気分だっただけだからっ!なっ、ルイ?」
「…へっ!?あ、そ、そうですね……」
表情筋を固めることに全力を注いでいたのに、なんで話を振ってくるんだこの魔王様は!?
「………」