133
ルイ「ルア、これ。各地域から出た意見書まとめておきました。」
ルア「あぁ、ありがとう、ルイ。」
ルイ「それとお菓子です。……あまり根を詰め過ぎないようにしてくださいね。」
ルア「うん。……ルイ、お願いがあるんだけど。」
ルイ「なんです?」
ルア「…クレイの様子、見てきてくれない?」
ルイ「わかりました。…時間も時間ですし、ついでに夕食も持っていきましょう。」
ルア「……ありがとう。」
コツコツコツ………コンコンコン。キィィ…
ルイ「夕食を持ってきました。」
クレイ「…………ルシアは。」
ルイ「仕事です。」
クレイ「そうですか……………」
そう呟いて、クレイは膝を抱え蹲った。
もう、何日になるだろうか。
彼が鳥籠に囚われてから。
その鳥籠は、籠というにはかなり大きく、どちらかというと巨大な檻に近い。
一本一本の格子は太いが、間を通れるくらいの隙間があった。
しかし、彼は出られなかった。
クレイが格子の隙間に手を伸ばしただけで、檻はそれを拒むかのように、まるで生きているかのように、黒い金属を格子から格子へと穴を埋めるように彼を束縛し完全な檻へと進化する。
永遠にこのままではいけないと思いつつも、誰も彼もが思考を停止させていた。
それもそのはず。
この国は、この世界は、つい先日、とても大切な人を失ってしまったから───




