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ふと、異変を感じて目を開いた。
(…ヨハの気配がなくなっている……?)
「ハ、ハハ」
ヨハが死んだ。ジノはまだ生きている。
やはり、という思いと同時に、涙がこぼれるのを感じた。
でも大丈夫、大丈夫なんだ。
すまないヨハン。
今日が終われば、俺はお前を忘れてしまわなければならない。
でも、きっと、いつか。
必ず思い出すから。
いつか……
あぁ、悪魔が来たようだ。
俺の平穏を壊す足音だ。
妹に不幸をもたらす蛮族だ。
呪いが囁く。許すなと。
兄妹の愛を引き裂く混ざり物を殺せ殺せ殺せ。
そうだ、俺達兄妹の血は繋がっている。
深く絡まった愛の血には。
誰であろうと逆らえない。




