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パリィン、と皿の割れる音が響く。
クレイと一緒に作ったケーキは台無しになっていた。
クレイ「我が君!お怪我はありませんか!?」
私の身を案じてクレイはすぐ傍に来てくれた。
けれど私は、皿の載っていない手のひらを空中で制止させたまま動く事が出来ない。
思い出してしまったから。
今日の夢を。
クレイ「我が君…?」
どうしよう、という後悔が心を飲み込んで動けない。
メア「ク、クレイ…っ、ど、どうしよう……ルイも、ルシアもキールもっ、し、死んじゃう……!!このまま、じゃ、兄上に殺されちゃう……!!」
そう、今日見た夢。
血を滴らせた漆黒の剣。
それを握った兄が笑っていた。
血溜まりの中で、大切な人が死に絶えようとしている中で。
大好きな人が私の名前を呼ぶのだ。
『メア、おいで。』
と。




