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122 過去回想①
『ちちうえ!ははうえ!』
何百年か年の離れた妹は、とても愛らしかった。
『まぁメア、そんなに走っては転んでしまいますよ。』
『メアはとても賢くて運動神経もいいからなぁ。』
愛らしい妹は、両親によくなついていた。
『えへへ、そうでしょう!!』
『本当、男の子ならよかったのに。』
両親はいつも口癖のようにそう言っていた。
彼らが求めていたのは家族ではなく、『能力』だった。
だから、妹はその存在自体を望まれたことは一度もなかった。
ある日妹が高熱を出した。
原因は大雨の日に外で遊んでいたという、いかにも子供らしい理由だった。
その日から、日常はどんどんおかしくなっていく。




