118/136
118
そんなクレイに対してルイはとても冷めていた。
たしかに魔王様の心を奪われたことに対する怒りは残っているが、そんなことに囚われて道を見失っているようではダメだ。
とても、冷たい瞳をしていたと思う。
メア「ルっ、ルイ……?」
嗚呼、魔王様が泣きそうな表情でこちらを見ている。
僕に見捨てられると思って震えている。
………最高の気分だ。
自然と口角は上がっていた。
よくわからないモヤが、感情が、体を支配している。
きっと僕はひどい顔をしているのだろう。
嗚呼、魔王様が絶望しきった表情でこちらを見ている。
あの人は僕を嫌えない。
そんな確信があった。
もう僕は綺麗に笑顔を作れる。
ルイ「場所を変えよう、ルシア。」
くるりと後ろを振り返り、にっこりと笑って
そう言った。




