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メア「ふんふふんふふ〜ん」
魔王はご機嫌だった。
鼻歌を歌いながらくるくるとまわる。
手に持ったポットからホットココアを注いだ。
なんだか、今日はいい日になる予感がしたのだ。
とてもいい日になる予感が……
クレイ「我が君、なにか良いことでもあったのですか?」
メア「んぅ?そうみえる〜?」
クレイ「はい。とても輝いておいでです。」
メア「…クレイが私の部屋でお茶してくれてるからかなぁー」
クレイ「もったいなきお言葉。」
メア「えへへ。」
メア「わたしね〜幸せなんだぁ。…クレイがいてルイがいて、ルシアがいてキールがいて。兄上ともちゃんと仲直りできて。リキとも出会った。…ユマともちゃんとお別れができた。また会う約束もしたの。」
メア「わたし、こんなに幸せでいいのかなぁ………そう考えて、たまに怖くなる。いつか、これが、…全部夢だったらどうしようって。」
メア「どうしてそう考えてしまうのかわからないの。幸せは幸せとして感じていたいのに、そこに深い、深い、落とし穴があるみたいで………無性にこわい。」
メア「…だけどっ!今はこわくなんかないっ!すっごく、今日が楽しみ!」
クレイ「そうですか。」
メア「うん!!」
そう言いきって魔王は愛する人にとびきりの笑顔を見せた。
これが、最後の幸福とも知らずに。




