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ルシア「それで?何を買うの?」
リキ「食材だよ。あとは頼まれた家具やその他もろもろ。」
ルシア「ふーん…」
ぼんやりしながら騒音の中を歩く。
決して良い空気とは言えないけれど、周りに自然の多いあの城より息苦しくはなかった。
リキ「ただいまー」
「あっ、りきだ!!」
「リキおかえり〜!!」
「あくまのおねえさんも、おかえりなさいっ!!」
ルシア「た、ただいま…」
初めてリキに出会った頃の彼と似た背格好の子達の、歓迎に戸惑う。
彼等は私が怖くないのだろうか。
リキ「初めてルシア達と出会った時からずっと、みんなに言ってるんだ。『外を見るより内を見ろ』って。」
ルシア「…優しいのね。」
リキ「その考えを持てない人間が愚かなだけだよ。」
そう言ってリキは悲しそうに目を伏せた。
ルシア「…愚かじゃないよ。生存本能なんだから。」
呟いた声は届かない。
リキ「…えっ?」
ルシア「ううん!なーんでーもないっ!じゃあ私、帰るね!!」
ふわりと宙へ浮かんだ。
リキ「あ、あぁ!………またな!!」
ルシア「…えぇ、また!!」
そうして一人の悪魔は現実に帰っていった。




