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メア「めでたしめでたし。」
ルイ「『めでたし』じゃないですよ!!どーするんですか、吸血鬼の、しかも『彼岸の王』が仲間って……!!」
ルシア「いいじゃないの。ほら、現に元天使だっているわけだし。」
メア「そうだぞルイ。何か問題があるのか?」
ルイ「もうほんっっとうに貴方って人は……問題大ありですよ!!」
メア・ルシア「あるんだ。」
キール「あるだろうねぇ。」
ルイ「そこ!下っ端の分際で何しれっと魔王様の髪触ってんだ殺すぞ!!……はぁ。どうしてそんなに呑気にしてられるんですか。あぁ、魔王様だからかー、そっかぁー……」
メア「むっ、ルイ、お前今とっっっても失礼な事考えただろっ!!」
ルイ「考えもしますよ!!いいですか!?よく聞いてくださいね!?!?」
メア「ぅ、うん……」
ルイ「…っはぁ。ルシアも、そこの下っ端もよくよく聞いてください。」
ルシア「よくって2回言ったわ。」
キール「2回言ったね。」
ルイ「(天使と吸血鬼は仲が悪いんじゃなかったんですか)……まずは歴史のおさらいからです。数世紀前から現在に至るまで、この世界の陸地の7割が『魔の者』の領土となっているのはご存知ですね?」
ルシア「7割!?広いのねー……それで『魔の者』っていうのは?」
ルイ「…………上空のほぼ全領域を支配している天使だった人がそれを言いますか…」
ルシア「沈黙が怖いわ。」
ルイ「…『魔の者』というのは悪魔や魔物、吸血鬼やその他『人間ではない』種族の総称です。」
ルシア「あぁ〜、なるほど。」
ルイ「ただ、やはりルシアの言う通り7割というのは広すぎます。今でも未開拓の土地や山が多く残っているほどです。…その中である一つの国が建てられました。それが、現在魔王様の統治されるこの国です。」
ルシア「…ふ〜ん……って、は!?この国!?」
ルイ「その後大雑把ですが東西南北に分かれ、計5つの国が誕生し今に至ります。」
ルシア「はぇ……」
メア「はぇえ………」
ルイ「魔王様!?貴方は知ってましたよね!?知らなかったとは言わせませんよ!!!」
メア「しっ、知ってた!!知ってたし!!」
ルシア「(あやし……)」
メア「た、ただねっ?今統治してる他の魔王の名前が、思い出せないなーー…なんて。」
てへっと可愛らしく笑う魔王を、ルイはすごい顔で見つめる。
メア「ル、ルイ……?顔が怖いよ…?」
危険を察知してか魔王はルシアにしがみつく。
キール「東のイアル、西のスーナ、南のサーヤの、そして北のシア、だね。」
シアの名前を出すと、メアは少し怯えたように肩を竦めた。
キールはルイの返答に驚愕の表情を浮かべている。
ルイ「…そんなところまで………」
キール「魔王の名前は公にはされないからね。調べるのに大分苦労したよ。」
どうやって調べたのか聞かない方がいいと、その場の全員が思ったのは言うまでもない。




