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自分の中の何かが書き換わるのを感じた。
新しい自分になったみたいに。
怒りも、嫉妬も、執着も。
全ての憂いが晴れたかのような。
嘘。
悲しみは少しだけ残ってる。
そんな、感覚。
暖かい。
もう、僕は一人じゃなくてもいいんだ。
貴方のそばにいても……………
「吸血鬼キール。」
陽だまりの中で、姫が僕を呼ぶ声が聞こえた。
「はい。」
「…あなたは私、魔王メアに絶対の忠誠を誓いますか?」
そんなの…
「もちろん。もう随分昔から、僕の中では君だけだよ。」
「……ありがとう…じゃあ、1つ目のお願い。『引き受け』させてね。」
この日を境に、キールは吸血鬼でありながら悪魔と生きていくこととなった。




