1 魔王は気付いてもらえない
「クレイに好きって気付いてもらえなぁ〜い〜〜」
だだっ広い部屋にそんな声が木霊した。
抱きしめた枕にボフボフ顔を埋めてみせる。
好きが溢れて仕方ない結果の行為だったのに、やれやれといったように肩を竦められてしまった。
「クレイ様は鈍感ですからね…もう口で言っちゃえばいいじゃないですか。」
そいう言いながらミルクの注がれたカップを渡してくれたのは私の世話係兼秘書のルイだ。
それにしても何を言い出すんだ貴様は。
「やだぁっ!むり!」
それができたら苦労しないんだってば!!
「やだって……もう少し女性らしくしてみたらどうですか?お淑やかに……」
「お淑やか……」
お淑やかって、なんだ?
「……でーきーんっ!ってか今更むり!」
やけくそになって枕をルイに投げつける。
「ぐへっ……痛いですよ、魔王様ぁ。」
そう言いつつしっかりキャッチしているルイをジトっと睨みつつ頬を膨らませた。
簡単に言ってくれるな!こっちは真剣に悩んでるのに!!
…あっ、顔逸らしやがった。
「もう!!天使の羽もぎってくる!!そしてそれをクレイにプレゼントする!!」
「………ちょいちょいちょいちょっと待ってください魔王様どうしてそうなるんですか嫌がらせですか、クレイ様は大の天使嫌いだと知っているでしょう!?」
そんなことは知っている。
「だからこそのプレゼントなの!!さぁ、そうと決まればレッツ★天使狩りだ!!」
大嫌いな天使を減らしてくれば、きっとクレイも喜んでくれるはずだ!!
そう思うと気分も良くなって、止めようとしてくるルイを振り切るために窓から飛び降りた。
初めまして!第1話を読んでいただきありがとうございます\(* ´ ꒳ ` *)/ンバッ
基本的に1話1話が短いので、更新は不定期ですが暇な時にでも読んでくだされば嬉しいです(*´ω`*)